心と身体、生き方の総合気療 東京都荒川区の気功治療院
一義流気功治療院

健康へ導く知恵

心の健康3

心の健康、心の健康2では、比較的に浅い部分をテーマにして書いてきました。ここでは更にその奥、人間の心が逸脱を引き起こす根本に触れます。

疲れると、なぜ鬱病になるのか?

鬱病になる可能性は、誰にでもあると言われています。鬱病になる切っ掛けは、過度なストレス、もしくは心身の極度の疲労です。心には耐久性があって、それを超える負荷が掛かった時に、心が壊れて精神の病に至る。これが一般的な、鬱病を発症させるイメージではないでしょうか。間違いではありませんが、そこには何故、壊れてしまうのかの説明がありません。
あまり知られていない事実ですが、実は人間の心の底には、異常反応を起こすエラーが存在しています。そのエラーが拡大して影響力を増した時に、心は理性的・合理的ではいられなくなります。ただ疲れただけでは、人間は心を病ませません。ストレスや疲労は切っ掛けであって、原因は心の底にあるエラーにあります。

心の底にあるエラーは、通常であれば、精神力によって抑えられています。心はそれを正常ではない、不合理な反応だと認識しています。ですから精神力を割いて、常に抑え続けなければなりません。過度なストレスや疲労は、その精神力を減退させます。すると今まで抑え込んでいた心のエラーが、意識の表面上で解き放たれ、暴れて収拾が付かなくなります。正常で合理的な反応が出来なくなってしまった先の姿が、鬱病などの精神疾患です。ノイローゼ、神経症、統合失調症など、精神の異常には様々な形があります。それらも元を辿っていけば、心のエラーの活性化に起因します。またそれが「心因性の病気」として表面化するケースもあります。一般的には精神との繋がりが発見し難いために、心因性とは判断されない場合が殆どです。

心の底にあるエラー

大きな火事を経験した人が、ガスコンロやライターの火を極度に怖がるのは、想像に難しい現象ではありません。それらの小さな火は、何かに引火しない限りは安全です。極度な恐怖心は、明らかに不合理な反応です。火その物ではなくても、例えば火を連想させる赤色を見ると、軽い恐怖が出てくる場合もあります。こちらの反応は更に不合理です。もしかしたら、その時に聞いた音に恐怖を感じるかもしれません。これが心の底にあるエラーの、理解し易い例です。
人間は誰しも心の底に、こうしたエラーを多く抱えています。(心のエラーを「異常反応」とも表現していますが、ここでは「エラー」で統一します) その数は少なくとも、数百というレベルです。この話を聞いて、直ぐに納得できる人はいません。死線を何度も超えた傭兵のような人物ならともかく、普通の一般人では考え難い説です。しかし心にエラーが引き起こされるのに、そんな大きなインパクトは必要ありません。タンスの角に小指をぶつける程度の衝撃で、もう充分なのです。タンスの角に小指をぶつけた時に、人間の意識は痛みの衝撃で飛びます。ほんの一瞬ですが、空白の時間が作られます。その一瞬の間に、理性から切り離された心は、周囲の認識できる情報を危険な物としてインプットします。タンスの角だけでなく、例えばその時にお湯が沸騰する音がしていたら、その情報にも危険マークが付けられます。理性はインプットされた事実に気付きません。こんな細かい出来事が、胎児の頃から積み重ねられていきます。年齢を重ねていけばいく程、周囲は危険だらけになります。
精神力がある内は大丈夫です。タンスもお湯が沸騰する音も、危険ではないと理性が知っています。潜在意識下ではザワザワとしますが、意識の表面上では乱されません。しかし精神力が弱まって抑えが利かなくなれば、周囲のあらゆる物が不安や恐怖の対象になります。本人は何に刺激されているかも判らず、ただ心を乱され、蝕まれていきます。何に刺激されているか自覚できる場合もありますが、それはむしろ幸運です。本人が意識的にそれを避けたり、遠ざけられます。

心の底で蓄積されたエラーは、似たような状況によく反応します。実際にあった例を紹介します。胎児でお母さんのお腹にいる時に、性交渉がありました。激しく揺さぶられ、その子はかなりの苦痛を受けました。肉と肉がぶつかるパチ! パチ! という音を、危険なものとしてインプットしました。やがて産まれて成長し、小学生になりました。そこでご両親は、この子の精神的な問題を発見します。異常なまでに向上心がなく、誰かと競うのを極度に嫌うのです。実はその性質は、胎児の時代の性交渉にありました。パチ! パチ!という音は、拍手に似ています。自分が誰かに勝って拍手を受けた時に、苦痛の記憶が潜在下で刺激されてしまったのです。そして心は、パチ! パチ! という音を仲介に、誰かに勝つ事苦痛とを結び付けてしまいました。つまり向上心を持って頑張る行為は、その子にとって危険なのです。これは表面化した事例ですが、潜在下で行われる方が遥かに多くあります。不合理に結び付けられた何か危険が、潜在下で拡がり、連なっています。そして何を危険とインプットし、何と何が結びつくのかは、人それぞれです。絶対に起こる共通の法則はありません。ですから胎児の時代に両親が性交渉をしたからと言って、それが問題になるとは限らない訳です。 

エラーへの対応

鬱病などの精神疾患は、休息や薬で完治したように見えても、再発のリスクが強くあります。それは根本が解決しておらず、表面上の脳内分泌や心の動きを操作したに過ぎないからです。活性化したエラー自体は、精神力が回復しても、整理もされませんし引っ込んでもくれません。心の底にあるエラーが活性化し、意識の表面上に出てしまえば、自力で治すのは困難です。この場合の困難というのは、残念ながら、殆ど希望がないレベルです。かと言って本人がいくら考えても、エラーの正体に到達など出来ません。タンスに小指をぶつけたり、転んだりした時の事を、いちいち覚えている人はいません。増してや胎児の時代などと言われたら、もうお手上げです。通常のカウンセリングの手法では、扱える内容ではありません。貴方が今現在、特に大きな精神的な問題を抱えていなければ、このサイトに出合えたのは幸運です。そうならない為には、まず自分を追い込まないのに尽きます。心の底にある小さなエラーは、通常の精神力であれば、常に抑えられています。精神力さえ削られなければ、その殆どは表面化せずに一生を終えられるでしょう。

既に意識の表面に出て、その人を困らせている場合であっても、絶望ではありません。直ぐに全ての問題が解決する訳ではありませんが、心のエラーは整理していけます。ただ普通のカウンセリングや認知療法では、あまりに深い部分までは手が届きません。それを気というエネルギーを通して、手を伸ばして届かせています。私自身も、この心の底にあるエラーを、数多く抱えていました。ですが今は綺麗に整理され、何も残っていません。私がどんなに疲れた所で、鬱病にはなりません。心因性の病気にも繋がりません。ただ疲れただけで、休めば元通りに回復します。