下半身冷えは、万人共通
「自分は冷え性じゃないから、関係ないや」と思われた方、そこが誤解の多いところです。ここで言う冷えとは、上半身よりも下半身の体温が低い状態を問題にしています。この下半身冷えは、万人に共通します。
直立歩行をする人間は、下半身が絶対に冷えます。足元は心臓から遠いという事情も重なり、上半身と下半身との体温差は相当なもの。冷えている体感がなくても、現代人の殆ど全員が下半身冷えの状態にあります。また温度差の問題ですので、夏なら暑いから大丈夫というわけではありません。
冷えているだけで、身体は機能を低下させる
では実際に、「下半身冷え」は何故健康を害するのでしょうか? それは気血の流動性に関係します。人間の身体全体には、気が巡っています。気の流れには上から下の陽経、下から上の陰経が存在します。下半身の相対的な冷えが強いと、下から上の陰経の流れが滞ってしまうのです。心臓に負担がかかり、消化・吸収活動が妨げられ、呼吸は浅く、排毒・解毒機能が衰えます。個々の臓器は機能を低下させ、満足に働けません。血流も悪くなり、慢性的なエネルギー不足、老廃物や毒素が蓄積された状態が慢性化されてしまいます。自然治癒力が大きく損なわれるので、そこからどのような病気に発展していっても、不思議はないのです。
足元が常に火照っている人も、また珍しくありません。この人は問題ないのでしょうか? いえそれは逆に、身体がかなり無理をしている状態なのです。身体自身は、下半身が冷えると健康に悪い事をよく知っています。ですから冷えてくると、防衛反応として熱を出してカバーしようとします。これが火照りです。身体の芯は表面温度の上昇とは裏腹に冷えていますから、機能低下から逃れるまでには至りません。また足元を発熱させるのにエネルギーを費やしてしまうので、その分他の身体機能が犠牲になります。
環境汚染が進み、ストレスが多い現代人の環境は、この下半身冷えを助長します。下半身が冷え易いのは大昔から同様ですが、その度合いが酷くなり、特別に対応しなければならない時代に突入しています。病気や症状などの健康上の悩みには、どこかで必ず下半身冷えの問題が関係しています。
冷えが精神に与える影響
下半身が冷えている=頭がのぼせている。 という状態です。下半身が冷えていると熱が上半身に滞り、頭がのぼせる結果になります。頭部が充血しますので、思考能力は低下、情緒は不安定になります。冷静な判断が出来ない場面が増えます。
冷えは前述したように臓器の働きを低下させますが、これによっても精神に影響を与えます。不安感が強い鬱状態、焦燥感、虚脱感、冷淡さ、怒りっぽさなど、精神的な問題も冷えを起因にするケースが多いのです。