マッサージや湿布など 対症療法の限界
肩こりの直接の原因は、血行不良と筋肉の緊張です。それを重苦しさや痛み、違和感といった形で症状を感じています。肩こりの症状が進むと、逆に症状の不快感がなくなる場合もあります。これは感覚自体が鈍ってしまっている状況です。肩こりから、手足の痺れ、頭痛などを引き起こす事もあります。
直接の原因が血行不良と筋肉の緊張ですから、殆どの方が、患部を中心にしたケアを行っています。揉む、圧す、叩く、湿布を貼る、温めるなど、その場での症状は緩和されます。長時間のパソコンや読書といった原因が明確な一時的なものであれば、そうした対症療法で充分です。
しかし慢性的に肩こりを抱え続けている場合には、患部中心のケアでは間に合いません。身体というものは、患部だけが急に独立して悪くなるわけではありません。全体として機能が崩れてしまっている中、たまたま患部に不備が表れてきただけなのです。血行不良を改善していくにも、患部周辺ではなく、全身のレベルで考えていく必要があります。もし全身レベルで血行不良が起こっている時に、患部周辺だけをマッサージなどで改善させたとして、その効果はどの程度長持ちするのでしょうか? よく「マッサージを受けたその日は良いけれど、次の日には元に戻っている」という声を聞きます。部分的にほぐして血行を良くした所で、また直ぐに全身レベルの血行不良に飲み込まれてしまいます。湿布を貼っても、薬品を塗っても、温めても、結局は同じ事です。その場限りの対症療法では、慢性的な肩こりには対応しきれません。
患部ではなく、全体を見る
肩こりが慢性化するには、必ずその背景となる原因があります。それが全身の血行不良であれば、例えば自律神経の乱れ、呼吸の浅さ、身体の冷え、内臓の疲労、運動不足、消化器への負担、過度のストレスや悩みなどが考えられます。こうした背景を全く無視し、患部に執着しても出口はありません。身体機能を弱体化させている要素に対して、適確な治療や施術、日常生活の改善を行っていく必要があります。
一義流気功 気療院に通われている患者さんの中には、「週に一回は通っていたマッサージや整体に、全く行かなくても良くなった」という声も少なくありません。そして施術をしている私自身は、肩こりに訴える方に対しても、肩を直接触るような行為は殆どありません。患部はたまたま症状が出ているだけの場所であって、身体の悪い根本部分ではないからです。肩こりは患部をほぐして解決するのではなく、体質自体を改善していけば、重症化は自ずと避けられます。またこの事が、その他の重い病や体調不良に陥っていくリスクを軽減させてもいます。