現代医療にとってのうつ病

うつ病とは何か?
うつ病は、気分が極端に落ち込み、日常生活に支障をきたす精神疾患の一つです。単なる一時的な気分の落ち込みとは異なり、持続的な抑うつ感や無力感が特徴で、症状が数週間以上続く場合に診断されます。この病気は「気分障害」に分類され、主に「大うつ病性障害」として知られています。
うつ病の主な症状には、精神的および身体的な側面があります。精神的には、強い悲しみや絶望感、興味や喜びの喪失、自責感や無価値感が挙げられます。また、集中力の低下や決断困難、自殺念慮なども見られることがあります。一方で身体的症状としては、不眠や過眠、食欲不振または過食、疲労感、頭痛などが現れることがあります。
日本では生涯有病率が約6.7%とされ、多くの人が経験する可能性があります。
うつ病の原因
うつ病の原因は、体の仕組み・心のクセ・環境の3つが複雑に絡み合って起こると考えられています。まず「体の仕組み」では、脳の中にあるセロトニンやノルアドレナリンという物質のバランスが崩れることが関係しています。これらの物質は気分を安定させたり、やる気を出したりする役割がありますが、ストレスが続くと減ってしまい、情報がうまく伝わらなくなります。特に、ストレスに弱い体質を受け継いでいる人(遺伝的な特徴)は、うつ病になりやすいことが分かっています。
「心のクセ」としては、完璧主義や責任感が強すぎる性格が関係しています。こうした性格の人は小さな失敗でも自分を責めすぎたり、ストレスをため込みやすくなります。「環境」の面では、大切な人を亡くしたり、仕事での大きな失敗、人間関係のトラブルなどがきっかけになることが多いです。こうしたストレスが長く続くと、脳が「危険モード」になりすぎて、正常な判断ができなくなってしまうのです。
最近の研究では、ストレスが脳の構造そのものを変えてしまうことも分かってきました。例えば、ストレスで脳の神経細胞が縮んだり、異常なタンパク質がたまったりすることで、気分の調節がさらに難しくなるのです。つまり、うつ病は「脳の働きが物理的に変化する病気」でもあるということが、最新の科学で明らかになってきています。体質・性格・環境のどれか一つではなく、これらの要素が重なり合って発症するのが特徴です。
落ち込み気分と病気との違い
うつ病と単なる落ち込みの違いは、医学的診断基準と生物学的背景にあります。うつ病は脳内の神経伝達物質(特にセロトニン)の不均衡によって引き起こされる疾患で、抑うつ気分や興味喪失が2週間以上持続し、睡眠障害・食欲変化・自責感・集中力低下などの複合症状を伴います。日常生活が著しく阻害され、ベッドから起き上がれない・自殺念慮が繰り返されるなど、生命リスクを伴う点が特徴です。治療には抗うつ薬(SSRI/SNRI)と精神療法が必須で、6ヶ月以上の継続的治療が必要となります。
一方、単なる落ち込みはストレスへの反応的な感情変化で、数時間~数日で自然回復します。原因が明確(仕事の失敗など)で、睡眠や食欲に大きな変化がなく、趣味への興味も維持される点が決定的な違いです。医学的介入を要さず、休息や気分転換で改善しますが、2週間を超えて症状が固定化する場合は専門受診が推奨されます。両者の本質的差異は「脳機能障害の有無」と「日常生活の破綻度」にあり、早期の適切な判別が予後を左右します。
代表的な治療法
うつ病の代表的な治療は、休養・薬物療法・精神療法を基本とし、必要に応じて専門的な治療法を組み合わせて行われます。まず「休養」が治療の第一歩となります。十分な睡眠とストレス環境からの距離を置くことで、脳の疲労回復を促します。職場や家庭での役割を一時的に軽減し、無理のない範囲で心身を休めることが重要です。この段階では、家族や上司との連携による環境調整が欠かせません。
薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)といった抗うつ薬が中心に使用されます。これらの薬は脳内の神経伝達物質のバランスを整え、症状の緩和を図ります。効果が現れるまで2~4週間かかるため、焦らず継続的に服用することが求められます。抗不安薬や睡眠導入薬を併用するケースも多く、患者の状態に合わせて処方が調整されます。
精神療法では「認知行動療法」が広く実施されています。物事の捉え方の偏りを修正し、ストレス対処法を学ぶことで再発予防を目指します。対人関係療法も効果的で、人間関係の課題解決を通じてストレス源を軽減します。これらの治療は薬物療法と並行して行われ、週1回程度の面談を数ヶ月継続するのが一般的です。
従来の治療で改善が見られない場合、修正型電気けいれん療法(m-ECT)や経頭蓋磁気刺激法(TMS)が検討されます。特にm-ECTは重症例や自殺リスクが高い患者に迅速な効果を発揮し、麻酔下で安全に実施されます。TMSは磁気刺激で脳の特定部位を活性化する方法で、外来通院が可能な点が特徴です。
治療期間は個人差が大きいものの、初発例で6~12ヶ月、再発例ではより長期の管理が必要です。寛解後も再発予防のため、抗うつ薬の継続投与や定期的なカウンセリングが推奨されます。近年ではAIを活用したオンライン診療や症状記録アプリが補助的に活用され、治療の継続性向上が図られています。ただし、多剤併用の傾向が指摘される日本では、副作用管理と最低限の薬剤選択が重要な課題となっています。患者の状態に応じたオーダーメイド治療が、現代のうつ病治療の主流です。
果が向上します。また、サポートグループや精神保健専門家との定期的な相談も支援の一環として重要です。
一義流気功では、うつ病をどう捉えている?

一義流気功では、うつ病に関して、精神医療を否定していません。そこに本質的な洞察を加えて、より深くうつ病について明らかにします。
うつ病の症状には、前向きな意味がある
一般的な医療において、うつ病は脳の故障という方向性で捉えられています。ストレスなどで精神的苦痛や落ち込みが続く内に、脳の気分を調整する機能が故障。嬉しい、楽しい、やる気なども全てなくなり、落ち込みっぱなしになってしまうというものです。
一方、一義流気功では、それらの症状を防衛手段として捉えます。精神的苦痛によって心が壊される危険水位に達した時、一時的に感受性を遮断、心を守るのです。精神的苦痛だけに局所麻酔をかけられれば良いのですが、残念ながらそうも行きません。嬉しい、楽しい、元気、やる気、などポジティブなものも全て巻き添えになります。
直接の原因は、心の毒(精神的苦痛)
精神的苦痛は、蓄積されます。この感覚は、あなたも何となくは理解できると思います。精神活動は目に見えませんし、液体や気体といった明確に分かり易い物質ではありません。しかしここでは、精神活動もエネルギーとして物質のように捉えてください。生み出された精神的苦痛(ここでは、心の毒)は、溜まるものなのです。
心の毒は大きくなるほど、気分の下降圧力が増します。うつ病と診断されるまで追い込まれるには、相応に莫大な心の毒を抱えています。
うつ症状は強制瞑想
瞑想は精神を整える。これは特に瞑想を経験していなくても、知識として何となくは知っていると思います。少し、瞑想についてご説明します。瞑想は自分が意識できている顕在意識を鎮めて、意識できない潜在意識を活性化させるものです。顕在意識と潜在意識とはシーソーのような関係にあり、片方が上がればもう片方が下がります。潜在意識には自身を健全化させる自然治癒機能が備わっていますから、瞑想中にはそれが活性化し、結果として心を整えてくれるという訳です。上記の『心の毒』を処理して減らします。
うつ症状は、この瞑想に極めてよく似ています。感情が動かない、何もする気にならない、このように顕在意識を鎮めて潜在意識を活性化させています。実はうつ症状の陰で、潜在意識は自身を修正しようと懸命に動いているのです。
現代医療においても、うつ病の治癒には休息がもっとも重要視されています。休めば回復するのは、その間に潜在意識が活発に治癒機能を働かせているからです。これを現代医療では、脳の機能の回復と捉えています。
一義流気功では、うつ病にどう対応している?

異常反応を解体し、心の毒(精神的苦痛)を減らす
異常反応とは、潜在意識にある不合理な恐怖心です。胎児~2才の間に形成され、後は一生、そのまま変わりません。異常反応は心の毒と繋がり、それを強めて心の自然治癒を阻害します。異常反応を大きく抱えるほど、心は脆く弱くなり、うつ病リスクに直結します。
一義流気功では、異常反応の解体を、改善の重要なスタートラインにしています。異常反応を解体し、気分の下降圧力である心の毒を減少させなければ、話が始まりません。そして心の毒が減少するに連れて、気分の下降圧力も小さくなっていきます。
症状は、その意味をなくす
心の毒が減少すれば、症状の意味はなくなります。感情と感覚を麻痺させておく必要性がなくなり、自然とそれら機能を回復させます。
つまり、うつ病は治るのではなく、必要がなくなって引っ込むものです。
その後の変化
異常反応がなく、抱えている心の毒の量が少ない健全な状態は、多くの変化をもたらし続けます。乗り越えた覚えのないトラウマが消え、良い気分でいられる時間と機会が増え、落ち込みが浅く立ち直りが早くなります。自分を守るための歪みも必要なくなり、認知行動療法に依らずとも自然と考え方と価値観が修正されます。(但し、認知行動療法を並行させた方が、気付きは早くなります)
また肉体面でも、副交感神経に深く入るようになり、睡眠の質が向上、肉体のメンテナンスも進み、数多くの恩恵をもたらします。体力の向上は、早期の段階で自覚できる人が多いです。
現代医療との兼ね合い
現代医療では、精神薬で症状を緩和させながら、休息によって心の自然治癒を待ちます。また平行して、必要であれば認知行動療法などで、自分を傷つける不利な考え方や価値観を修正します。これで心の毒が減り、うつ症状を引っ込められるまでバランスを調整できれば、結果として改善します。理にかなった方法で、大枠として否定はしません。ただ精神薬については、脳の正常な機能を衰えさせてしまうなど、功罪はあります。
ただこれでは、異常反応はそのままです。元々の精神的弱さを抱えたまま、身を置く環境、価値観や考え方、場合によっては精神薬による気分調整をしながら、バランスを取って生きていく道です。
一義流気功では、異常反応の解体をもって、心の弱さという土台から変革をもたらします。
潜在意識から情報を引き出す
全ての取り組みは、潜在意識から情報を引き出した上で行われます。異常反応の大きさは、どれ位なのか? 心の毒をどのような治療で減少させるのか? 日常生活をどう過ごせば良いのか? などを潜在意識から明らかにします。
心の健康を守るには?
うつ病まで追い込まれた人が、改めて心の健康を手に入れ、守るためには『負担と回復の均衡ライン』という考え方を採用してください。心の負担に対して、心の自然治癒を上回らせることでうつ病から抜け出せ、その先も少なくとも均衡させることで防衛できます。
まったくストレスのない環境は有り得ませんが、自分を病ませる程、過酷な環境に身を置いてはいけません。自分を傷つける不利な価値観や考え方は、出来る範囲で修正します。休息と気晴らしの時間を十分に取って、心の自然治癒を促しましょう。
異常反応の解体と心の毒の減少は、その均衡ラインを格段に楽に取れるようにします。
まとめ、結論
一般的に、うつ病は脳の病気です。ストレスや精神的苦痛などで脳の機能が壊れ、気分を上げられなく故障と捉えられています。一方、一義流気功においては、それを心の防衛手段と捉えています。うつ病は治るのではなく、必要がなくなった時に引っ込むものです。
一義流気功は、異常反応の解体と心の毒の減少によって、より本質的にうつ病でいる意味を無くします。
小池義孝の本
『知るだけで防げる うつの本』は、異常反応と心の毒との関係性を説明。『忘れたい過去が最短1分で消える!』は心の毒を自分で消すワークをご紹介しています。



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