骨盤が歪むと、なぜ猫背になるのか?猫背になると、なぜ骨盤が歪むのか?その悪循環のメカニズムと解決法

心身の健康

猫背になると、骨盤が歪む。骨盤が歪むと、猫背になる。姿勢や整体を調べたり勉強したりする人であれば、どちらも見聞きした情報だと思います。そこで多くの人が、ある疑問に至ります。猫背が先か、骨盤が先か?卵が先か、ニワトリが先か?みたいですよね。

さて、どちらが正解なのでしょうか?猫背は骨盤を歪ませる原因になりますし、骨盤の歪みは猫背の原因になります。ですから人によって違うだけで、どちらも正解です。ただ個人的には、猫背から骨盤の歪む人の方が多いと踏んでいます。

猫背と骨盤の歪みは、悪循環のループを引き起こします。猫背を治そうにも骨盤の歪みが邪魔をし、整体などで骨盤の歪みを治しても猫背がまた歪ませる。今回の記事では、その負のループを抜け出す秘訣をお伝えします。

猫背と骨盤の歪みの関係性

猫背にしても骨盤の歪みにして幾つかの形がありますが、ここではその代表的な関係性をご紹介します。

猫背でいると背中が丸くなり、背骨のS字カーブが失われます。腰のS字の凹みがなくなり、それに引っ張られて骨盤が後ろ側に倒れるように傾きます。

これは体を支える骨格構造としては不安定で、その足りない分を筋肉を固めて補わなければなりません。すると猫背で骨盤が歪んだ形のままガッチリと固定され、元に戻すのが困難になります。猫背と骨盤の歪みとの、悪循環ループの完成です。

猫背の症状と影響

首や肩のこり

猫背姿勢は首や肩に負担をかけ続け、こりと痛みを引き起こします。

背中のこりと痛み

猫背姿勢は背中全体に負担をかけ、首や肩と同様に、こりと痛みを引き起こします。

腰痛

猫背でいるだけで腰に負担をかけますが、加えてS字の凹み部分が失われると、腰の筋肉への負担がさらに増します。慢性的な腰の張りと腰痛に繋がっていきます。

呼吸が浅くなる

猫背姿勢は深呼吸の吐く動作に似ています。胸が狭くなり、多くの空気を吸い込めなくなります。また背中、腰、胸、骨盤と硬直部分を広げるほど、呼吸が浅くなります。

内臓機能の低下

胸や腹部の圧迫により、内臓の機能が低下し、消化不良や便秘などの問題が生じます。

姿勢の悪化による印象の低下

猫背の見た目は、決して好印象とは言えません。頼りない、自信がなさそう、卑屈、能力に乏しい、といった印象を与えます。ビジネス上、恋愛上で見えない形で不利益をもたらします。

明るさ、自信、やる気の減退

姿勢は精神状態に影響を及ぼします。猫背は人が落ち込んでいる時に取る姿勢です。落ち込んでいなくても、猫背でいるだけで気分が暗くなり、自信がなくなり、やる気がなくなります。また考え方が卑屈にもなります。

骨盤の歪みによる影響

腰痛

骨盤の歪みによって、骨格が上手く体重を支えられなくなります。そのマイナス分は筋肉の頑張りで補うしかなく、特に近い腰部に負担がかかります。その過度な負担の蓄積が、腰痛の原因となります。

下半身のだるさ

骨盤の歪みが周辺の筋硬直を生み、それが下半身全体の血流を阻害します。血行不良、冷え、老廃物の蓄積、不十分な疲労回復などにより、下半身のだるさという形で感じられます。

姿勢全体のバランスの崩れ

人間の肉体は、部分的に歪んでしまっても、全体として帳尻を合わせようとします。骨盤の歪みが固定されて修正できなければ、他の部分を歪ませて全体としてバランスを取ろうとします。その結果としての姿が、姿勢全体のバランスが崩れた猫背になるという訳です。

内臓の位置のずれ

骨盤の歪みは内臓の位置をずらし、機能不全を引き起こす可能性があります。

猫背の矯正についてはこちら

姿勢改善の重要性

正しい姿勢には、見た目の印象はもちろん、心身の健康に幅広く多大な利点があります。

筋肉や関節への負担の軽減

正しい姿勢は筋肉と関節への負担を軽減し、コリや疲れを遠ざけます。特に首と肩には、直接的な影響が及びます。

膝痛、腰痛のリスク軽減

筋肉、関節への負担の軽減は、そのまま故障の予防となります。膝や腰の痛みを慢性的に抱える人は多いですが、正しい姿勢でいるだけでその予防となります。また故障を治していく際にも、その負担軽減は大いに有益です。

疲労の軽減

筋肉や関節への負担が軽減されることで、全体的な疲労感が軽減されます。

内臓機能の向上

悪い姿勢そのものが与える内臓の圧迫、筋硬直による内臓そのものとその機能を司る神経の圧迫。これらが正しい姿勢によって解放され、内臓機能の向上につながります。

呼吸の改善

胸が広がり、肺を収縮させる筋肉がゆるむことで、呼吸が大きく深くなります。

自信の向上と良好な印象の形成

良い姿勢は自信を高め、他人からも良い印象を与えます。

猫背と骨盤の歪みを改善する方法

姿勢の意識改革

背中の骨が曲がって戻らない状況では話が別ですが、姿勢は意識一つで変わります。

キーワードは、重心です。立っている時、足裏のどこに重心があるのか、それで姿勢の全てが決まります。結論から申し上げますと、正しい姿勢の正解はかかとの少し前の内側、脛の太い骨(脛骨)の真下です。

ここに重心を置くと、骨格で自然と立つ形になります。すっと背中が伸び、無理に背筋を伸ばす必要もありません。

では、猫背の人はどうなっているのでしょうか?例外なく、重心がこの正解から前にズレています。前にズレるから、腰を後ろに引いてバランスを取ろうとする。その形で力を抜くと、猫背になります。よく、「意識して姿勢を良くしても、気を抜くと猫背に戻ってしまう」と悩む人がいますが、この重心の間違いが原因です。

正しい重心では、逆に猫背になれません。力を入れて多少は前屈みになれますが、良い姿勢でいた方がよほど楽です。重心で姿勢の全てが決まるという意味が、伝わりましたでしょうか。

詳しくは、ご紹介する著書にあります。宜しければ、お手に取ってみてください。

こうして意識を変えて正しい重心をおく習慣だけでも、歪んだ骨盤が逆に引っ張られて、正しい位置に戻ってくれます。ただ骨盤を歪ませる硬直が強固だと、姿勢の意識だけでは足りないケースもあります。その場合には、以下でご説明するストレッチと筋トレもお試しください。

ストレッチと筋力トレーニング

猫背と骨盤の歪みを改善するためには、適切なストレッチと筋力トレーニングが効果的です。

ストレッチ

背中全体のストレッチ

1.バランスボールの上に仰向けに横になり、胸を開くのを意識して、力を抜いて両腕をだらんと横に下げておきます。そのまま足を使って、前後にゴロゴロと行ったり来たりしてください。バランスボールの曲線に合わせて、背中にストレッチがかかります。

2.四つん這いになって両手をつき、膝を伸ばしながら背中を反らせます。これをゆったりと繰り返します。

胸筋のストレッチ

ドアフレームを利用して、胸を開くようにストレッチします。手を両サイドにつけて、胸を張るように体を前に出します。

骨盤周りのストレッチ

片膝を立てて座り、上体を前に倒して股関節を伸ばします。骨盤周りの筋肉を柔軟にすることで、骨盤の歪みを防ぎます。

筋力トレーニング

スクワット

骨盤周りの筋肉を鍛えるのに効果的です。スクワットは骨盤や大腿筋を強化し、姿勢の改善に役立ちます。

プランク

体幹全体の筋力を向上させます。プランクは腹筋や背筋を同時に鍛えることができ、姿勢を支える基盤を強化します。 肘をつけた腕立て伏せのような姿勢で、腰を曲げず、その姿勢を維持してください。初心者は10秒キープから。慣れたら時間を伸ばして1~2分、行うようにします。

これらの運動を定期的に行うことで、姿勢を支える筋肉が強化され、猫背や骨盤の歪みの改善につながります。

生活習慣の見直し

日常生活の毎日の繰り返しが、姿勢や骨格の歪みに大きな影響をもたらします。一つ一つは小さな要素でも、合わさって長期間の習慣になれば、決して馬鹿には出来ません。

デスクワークの姿勢

椅子に深く腰掛け、背もたれにしっかりと背中をつけます。キーボードやモニターの位置を調整し、首や肩に負担がかからないようにします。

スマートフォンの使用

首を長時間前に倒さないよう、目線を上げて使用します。スマートフォンを手で持つ際は、腕を体に近づけて肩の負担を軽減します。

寝る姿勢

仰向けや横向きで寝るようにし、うつ伏せは避けます。枕の高さを調整し、首や肩に負担がかからないようにします。

バッグの持ち方

片側に偏らないよう、両肩にかけるタイプのバッグを使用します。重い荷物は避け、必要に応じて軽量化します。

日常生活での基本

定期的な運動

ウォーキングなど、全身を動かす運動を習慣化します。運動は筋肉を強化し、姿勢を改善するのに役立ちます。

適切な睡眠

体に合ったマットレスと枕を選び、質の良い睡眠を十分に取ります。適切な睡眠は筋肉の回復に重要です。

栄養バランス

骨や筋肉の健康を支える栄養素を十分に摂取します。カルシウムやビタミン
D、マグネシウムは骨の強化に重要です。

ストレス管理

ストレスは筋肉の緊張を引き起こすため、適切な管理が重要です。ストレスを軽減するために、メンタルヘルスケアを意識しましょう。

一義流気功での取り組み

姿勢の意識、歩き方の指導などを行います。また筋肉と骨格の状態を見て、緩める治療、必要であれば矯正も行います。ほとんどの方が、初回、その場で変化を実感します。

日常での取り組みも、変化に応じて少しずつ変わります。その都度、適切な助言をいたします。

まとめ、結論

猫背と骨盤の歪みは密接に関係し、互いに影響を及ぼし合い、負の悪循環に至ります。けれども適切に対処によって、そのループから抜け出し、改善されます。

姿勢、骨盤の歪みを治すには、まずは良い姿勢の意識改革からです。そこにストレッチと筋力トレーニングを加えれば、相乗効果でより大きな改善が期待できます。さらに生活習慣、メンタルの在り方も修正されれば、これを切っ掛けにして心身の大幅な向上に繋がるでしょう。

良い姿勢は単に見た目の問題だけでなく、全体的な健康と幸福感にも大きな影響を与えます。この記事を切っ掛けにして、今日からご紹介した取り組みを始めてください。地道な一歩一歩が、必ず、目に見える成果という結果になります。

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