うつ病は、なぜ再発するのか?

うつ病の再発率とその切っ掛け
うつ病は一度回復しても再発しやすい病気として知られています。厚生労働省の調査によると、うつ病を経験した人の約60%が再発を経験しており、2回目の再発率は約70%、3回目は90%にまで上昇します。つまり、うつ病は再発を繰り返すごとに、そのリスクがさらに高まる明らかな傾向があります。
再発のきっかけは様々ですが、最も多いのはストレスや環境の変化です。たとえば、職場での人間関係のトラブルや、引っ越し、転職、身近な人との死別といった大きな出来事が再発の引き金になるケースが目立っています。また、結婚や昇進など、一見ポジティブな出来事であっても、生活環境の大きな変化がストレスになり、再発の原因になり得ます。
また、これは再発とは分けるべきかもしれませんが、自己判断で治療を中断した場合もそのリスクが高まります。精神薬で症状を抑えていただけで、本格的には治癒に至っていない。この状態で自己判断で薬を止めてしまえば、症状が復活するのは避けられません。
あるいは生活リズムの乱れ、不十分な睡眠、仕事の疲れ、などの日常での負担の積み重ねが、やがてどこかでうつ病の再発を招く場合もあります。
うつ病の再発は誰にでも起こりうるものであり、特別な性格や体質の人だけが再発するわけではありません。
そもそも、うつ病の原因は何か?
うつ病の原因は、一般的には脳の誤作動とされています。脳内の神経伝達物質、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどが上手く分泌されずにバランスが崩れると、気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったりするという訳です。このバランスの乱れは、急激な環境変化、辛い出来事、過度なプレッシャー、長期間の疲労、などが原因になる場合が多いです。また、もともとの体質や遺伝、性格の傾向も関係しています。
一方、一義流気功では、その原因はさらに突き詰めて考えます。まず、うつ病を脳の誤作動、脳の病気とは位置付けていません。強い精神的苦痛によって精神が壊されないよう、自らを守ろうとする手段として捉えています。強い精神的苦痛を軽減させるため、感受性の方を落として対応します。その際、ネガティブなものだけを対象では出来ず、嬉しい、楽しい、やる気、元気なども巻き添えになります。イメージとしては、自分で自分の心に打つ麻酔です。
うつ病が改善する、治るとは何か?
一般的にも、ストレス源から離れる、休息してリラックスすることが、うつ病を改善する上でもっとも重要視されています。これは結局、うつ病を治せるのは自分自身の精神だけ、心の自然治癒力だけを意味しています。精神薬は、脳に化学反応を起こして気分を調整しているだけで、うつ病そのものを治しているのとは違います。捻挫の痛みが痛み止めで消えたからと、捻挫が治った訳ではないのと同じです。
それでは心の自然治癒機能は、具体的に何をしているのでしょうか?ここで行われるのは、大きく分けて二つです。心の毒(精神的苦痛)を処理して軽減する、辛い出来事を過去にする、です。生み出された精神的苦痛は、処理されて無くなるまで、そこに存在し続けます。処理に対して生産が多いと、溜まって増えます。処理の方が多いと、その逆です。ストレス源から離れて休んでいる内に、溜まった心の毒を減らしていきます。一方、辛い出来事を過去にするとは、潜在意識の認識の問題です。安心安全な環境に身を置くうちに、潜在意識はその辛い出来事を過去にしていきます。過去はもう文字通り過ぎ去っていますから、今の自分には脅威ではなく、冷静に心を乱されなくなります。
こうして心の毒が減り、今の自分は安全で安心だと潜在意識が思えるようになると、心を麻痺させている意味がなくなります。感受性を戻し、嬉しい、楽しい、といったポジティブな感情も出てくるようになった姿を、うつ病の改善と捉えます。そしてこの改善には段階があり、前向きな感情もちゃんと反応して出てくる、うつ状態に入ることもない。何かあって落ち込んだとしても、その時だけですぐに立ち直れる。といった所まで来た時、治ったと判断されます。
うつ病を再発させない6つの習慣

ストレス管理
何より、うつ病の直接的原因であるストレスの管理は、第一に考える必須項目です。突発的なアクシデントは仕方ありませんが、日々でかかるストレスを少な目に調整し、余裕をもった安全圏で過ごすように意識してください。苦痛に感じることは、避けられるものは避ける。オーバーワークにならないよう、体力的にも精神的にも余力を残す。気晴らし、気分転換の機会を持つ。何かあったら、一人で背負いこまずに信頼できる誰かに相談したり、愚痴を聞いてもらったりする。
その上で、少しでもうつ病の症状が出てくるようなら、完全に再発する前に休息モードに入りましょう。
睡眠
睡眠は、心身の集中メンテナンスです。質の良い睡眠の確保は、心身の健康維持に欠かせません。睡眠不足は、そのメンテナンスを不十分とし、借金返済が滞るイメージです。生活リズムを安定させる、体を動かして適度に疲労させる、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、寝室を静かで快適な環境に整える、寝具やパジャマを寝心地の良いものにするなど、良い睡眠習慣を意識しましょう。
また悩みごとやストレスは不眠の原因になります。生活している以上は仕方ない部分もありますが、出来るだけストレス、不安の源は減らしておきましょう。
運動、エクササイズ
運動は、もっとも確実に気分を上げる方法の一つです。脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンやエンドルフィンが分泌され、気分を明るく前向きにしてくれます。ウォーキング、ジョギング、ストレッチ、ヨガなど、自分にとって無理のない範囲で行うのがポイントです。辛いと感じるものだと、そのままストレスの原因になります。特に外でのジョギングや散歩は、太陽の光を浴びることで体内時計が整い、睡眠の質向上にもつながります。
入浴
入浴は心身のリラックスにとても効果的な習慣です。お湯にゆっくり浸かることで、体が温まり血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれます。ぬるめのお湯(38~39度)に10~20分ほど浸かることで副交感神経が優位になり、気分が落ち着きます。体の芯まで温まるのに20~30分ほどですから、健康法として30分以上を安定して行うようにしてください。体が温まっている血行の良い状態で眠ると、睡眠中の心身のメンテナンスがはかどります。お風呂から出てすぐに寝る必要はありませんが、まだ体に温かさが残っている状態で睡眠に入る習慣をつけてみてください。
ただ日々の生活の中で、ゆっくりと浸かれない時もあります。週の半分以上は浸かっているくらいで、十分に心身を整える効果は発揮されます。
食生活
バランスの良い食生活は、心の健康を支える大切な基盤です。栄養が偏ると、脳内の神経伝達物質の働きが悪くなり、気分の浮き沈みが激しくなりやすくなります。主食・主菜・副菜をバランスよく取り入れ、特にビタミンB群やオメガ3脂肪酸、たんぱく質を意識して摂ることが大切です。暴飲暴食や極端なダイエットは避けましょう。甘いものやカフェインの摂りすぎにも注意が必要です。
食事を楽しむ時間を持つことで、心にも余裕が生まれます。栄養面でのケアもそうですが、食事を楽しむ精神的な効果も、気分を上げてストレスを軽減してくれます。
自分を見つめ直す

今回、お伝えしている『6つの習慣』の中で、もっとも難しい取り組みです。とは言っても、肩の力を抜いて、楽しみながらで大丈夫です。昔の純文学に見られるような深刻な葛藤は、まったく必要ありません。むしろ力を抜けば抜くほど、結果として修正されて行きます。
うつ病にまで追い込まれたプロセスには、トラウマや認知の歪みがあります。うつ病が大きく改善された後にも、それらが多分に残っていて当たり前。少しずつトラウマを抜いて、認知を修正して、心を健全に合理的にして行きましょう。
例えば、怒りの反応パターンに注意を向けてみます。怒りは心の防衛反応で、屈服を拒否して攻撃をもって跳ね返すものです。常識と照らし合わせて過剰に怒っているようなポイントで、何らかの歪みが生じている可能性があります。自省して、歪みに気付けたなら、その時点でもう問題は大きく改善されています。またその付近に、触れたくないトラウマが潜んでいるケースもよくあります。トラウマも、トラウマとして自覚することが、軽くなる一歩になります。
明らかに自覚しているトラウマについては、触れた時の辛さが時間で軽くなってきたタイミングで、あえて直視してみてください。辛い作業ですが、直視すれば減るというのが、トラウマの法則です。
一義流気功では、どう対応するの?

再発ラインそのものを下げる
うつ病が改善された後、ほとんどの人が以前よりも心が弱くなります。初めてうつ病になる時に、仮に10ほどのストレスで発症していたものが、治った後は6や5になっているイメージです。以前よりも簡単に、うつ状態に入ってしまいます。
異常反応の解体と心の毒の減少が、心の土台を大きく変革させます。うつ病になる前に戻すのではなく、それ以上に強く健全な状態に向上させます。気分の下降圧力が大幅に減り、何かあって落ち込んだとしても、力強く素早く回復できるようになります。
潜在意識から、何が必要かを引き出す
うつ病を再発させないためも含めて、より良い精神状態であるために、今、何が必要なのかを明らかにします。例えばその時々で、「運動で歩いた方が良い」、「たんぱく質を増やした方が良い」、「睡眠時間を1時間、増やした方が良い」、「視野が狭くなっているから、一度、現状を大きな目で見直した方が良い」など、細かく出てきます。
まとめ、結論
うつ病は再発しやすい疾患であり、再発率は一度で約60%、二度目以降はさらに高まります。主な要因はストレスや環境変化、治療の中断、生活リズムの乱れなどです。再発防止への6つの習慣として、ストレス管理、睡眠、運動、食事、入浴、自分を見つめ直す、を推奨します。
一義流気功では、うつ病の根本原因を「異常反応と心の毒」と解明しています。異常反応とは、潜在意識に根付いた不合理な恐怖や不安であり、ストレス耐性や回復力を低下させます。一義流気功の実践では、この異常反応を解体し、心の毒を減少させ、精神の土台そのものを強化します。うつ病になる前に戻すのではなく、より健全で強い精神への向上を目指せます。
小池義孝の本
『ねこ背は治る!』は、30万部と突破のベストセラー! 『忘れたい過去が最短1分で消える!』など、累計70万部以上が販売されています。



公式HP https://ichigiryu.com/about/
住所〒116-0002 東京都荒川区荒川 6-52-1 1F
電話番号03-6427-7446 / 090-6499-9762(直通)
営業時間午前10時~午後8時(電話受付:午前10時~午後7時)
コメント