うつ病はなぜ、睡眠障害を併発するのか?

うつ病が睡眠障害を引き起こすメカニズム
睡眠障害は、うつ病に伴う主な症状のひとつです。脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスが崩れ、これが睡眠リズムの乱れや不眠の原因となります。寝つきが悪くなる入眠障害、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒などが典型的です。
またストレス状況下にあることで交感神経を優位にし、リラックスを阻害、興奮状態になって眠りを阻害します。
睡眠障害がうつ病を悪化・誘発するリスク
一方で、慢性的な睡眠障害それ自体が、うつ病の発症や悪化リスクを高めると知られています。十分な睡眠が取れない状態が続くと、脳や身体の回復が妨げられます。結果として、気分の落ち込みや意欲の低下といったうつ症状が強められてしまいます。不眠症状のある人は、そうでない人に比べてうつ病を発症するリスクが高いという研究結果もあります。
つまり、睡眠障害はうつ病の結果であるだけでなく、その原因にもなり得ます。この双方向の関係性が、うつ病と睡眠障害の問題をより複雑にしています。
過眠型うつ病との違い
逆に、うつ病の中には「過眠型」と呼ばれるタイプも存在します。過眠型うつ病では、夜間に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中にも強い眠気が続き、長時間眠り続けてしまうのが特徴です。朝なかなか起きられず、休日には10時間以上眠ることも珍しくありません。それでも疲れが取れた感じがしないため、日中の活動意欲が著しく低下し、何もしたくない、ベッドから出られないといった状態に陥りやすくなります。特に若年層や女性、季節の変わり目に発症しやすいとされる季節性感情障害(冬季うつ)や、非定型うつ病で多くみられます。
また、過眠だけでなく、過食や体重増加、対人関係への過敏さなど他の症状を伴うことも少なくありません。過眠型うつ病は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れやストレス、心理的な現実逃避傾向が関与していると考えられています。うつ病に至る大元は同じでも、ホルモンの乱れ方、性格やストレスの感じ方などで、症状は変わってきます。
睡眠障害を伴ううつ病に、現代医療はどう対応している?

うつ病と睡眠障害は密接に関連しており、現代医療では両者を同時に治療することが重要視されています。ここでは、現代医療の対応について「薬物療法」「非薬物療法」「診療体制の変化」の3つの観点からまとめます。
薬物療法:抗うつ薬と睡眠薬の併用
うつ病に伴う不眠症状には、抗うつ薬と睡眠薬の併用療法が行われます。近年のメタ解析では、抗うつ薬単独よりも、抗うつ薬とZ薬(ゾルピデムやエスゾピクロンなどの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)を併用した場合、12週間以内の短期間で抑うつ症状や不眠症状の改善率が高いことが示されています。副作用については、めまい以外の有害事象に大きな差は認められていませんが、長期的な併用のリスク・ベネフィット(利益)については今後の研究が必要とされています。
また、トラゾドンやミアンセリン、ミルタザピンといった抗うつ薬も候補になります。これらは深い眠りを促進し、依存リスクが低いとされています。ベンゾジアゼピン系薬剤やメラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)も症状や生活リズムに応じて使い分けられますが、依存や日中の眠気など副作用に配慮し、短期間の使用が推奨されます。
非薬物療法:認知行動療法などの心理的アプローチ
薬物療法に加え、睡眠障害に特化した認知行動療法も重要な治療法です。認知行動療法は、睡眠に対する誤った認識や不適切な睡眠習慣を修正し、自然な睡眠リズムを取り戻すことを目指します。うつ病の治療においても、認知行動療法を含む心理的アプローチが抑うつ症状の改善や再発予防に寄与することが脳科学研究から示唆されています。
さらに、生活習慣の改善やストレスマネジメント、適切な栄養管理も総合的な治療に組み込まれています。これらの非薬物療法は、薬物療法と併用することで治療効果を高め、副作用リスクを軽減する役割も果たします。
診療体制の変化と社会的対応
近年、睡眠障害の患者数増加を受けて、医療現場でも診療体制の強化が進んでいます。厚生労働省は、従来の精神科や内科に加え、「睡眠障害内科」や「睡眠精神科」など、睡眠障害を専門的に扱う診療科名の新設を進めています。これにより、患者が自身の症状に合った医療機関を選びやすくなり、専門的な治療へのアクセスが向上することが期待されています。
また、睡眠障害は「現代病」とも言われ、社会的な認知も高まっています。睡眠支援市場の拡大や、睡眠の質を高めるための情報発信も活発化しており、医療と社会が連携して睡眠障害とうつ病の包括的な支援体制を構築しつつあります。
一義流気功では、どう対応している?

一義流気功に来られる方でも、睡眠障害を抱える人は多いです。それでは一義流気功では、どう対応しているのでしょうか?
うつ病の本質とは?
現代医療の立場では、一般的に、うつ病は脳の病気とされています。ストレスや過労などにより、気分を調整する脳の機能が壊れ、うつ症状が固定されてしまう脳の機能障害、故障です。これに対して精神医療では、環境の変化と休息によってストレスを減らし、精神薬を用いて症状を緩和させながら、自然治癒を待つという方策が取られます。認知の歪みでストレスを生み出す状況があるなら、ここに認知行動療法が加わります。
一方、一義流気功では、うつ病を脳の故障とは位置付けません。過度な負担によって精神が壊されないための防衛手段として、うつ病の本質を捉えています。潜在意識が「これは危ない!精神に深刻なダメージを負ってしまう!」と判断した時、感受性を麻痺させて苦痛を軽減するのです。その際、苦痛だけではなく、嬉しい、やる気、元気など、ポジティブなものも巻き添えになります。言わば、自分の心に打つ麻酔のようなものです。
これは実は現代医療の立場と、何ら矛盾はありません。現代医療はあくまでも脳内で起こっていることに焦点を当てて、ホルモン分泌などから現象を明らかにしています。その事実に対して、あくまでも主観による判断で、脳の故障というイメージでの脳の病気と位置付けているだけです。そこに実は潜在意識の防衛手段としての意図があったというのは、解明された客観的事実の先への解釈の違いに過ぎません。
睡眠が優先
気功に限らず、自然療法系の人間ですと、全ての薬を否定する立場も目立ちます。けれども一義流気功では、そのような極端な全否定はしません。睡眠障害を伴ううつ病の場合、自然に任せた先が迷宮入りになりがちです。心身を回復させるために、睡眠が必要。うつ病症状があるから、眠れない・眠りが浅い・時間が短い。眠れないから、十分な回復が出来ない。と、改善できずに停滞します。場合によっては、勿論、さらに悪化します。
この場合、薬を用いて睡眠の部分を補うのが正解です。薬の負担や副作用があったとしても、利益の方がはるかに勝っています。
異常反応の解体と心の毒(精神的苦痛)の減少
異常反応の解体と心の毒の減少、これが一義流気功での主要なアプローチです。異常反応とは、胎児から二才の間で形成される潜在意識の不合理な恐怖心です。これを多く持つか少なく持つかで、一生の心の強さが決まります。うつ病からなかなか抜け出せない、何度も繰り返す人のほとんどが、異常反応を大量に抱えていることが分かっています。心の毒は、精神的苦痛そのものです。精神的苦痛は、ただその時だけの感情ではありません。増えて溜まり、処理されて減る物質と捉えてください。心の毒を大量に抱えることにより、精神状態に強い下降圧力がかかります。その先でうつ症状を使っての防衛を潜在意識が選択した時、人はうつ病になります。異常反応は、この心の毒を増やして強めていくものです。
ですからまず、異常反応を解体します。心の自然治癒が十分に機能できる土台を整備した上で、心の毒を減らしていきます。ある一定のラインを超えて心の毒が減少した時、感受性を麻痺させる必要性もなくなります。そこで潜在意識がうつ症状を解除した時、明確な改善へと至ります。
潜在意識から情報を得る
何が心の毒を生み出させるのか、何がどう作用して睡眠障害をもたらすのか、事情は人それぞれです。また同じ人物であっても、肉体、環境、考え方・価値観など、一定ではありません。潜在意識から情報を引き出し、その時点での最適な治療を実行し、日常生活での取り組みをお伝えします。
まとめ、結論
うつ病と睡眠障害は、脳内の神経伝達物質の乱れやストレスによって密接に関連しています。一義流気功ではうつ病を「脳の故障」とは捉えず、精神が壊れないための潜在意識の防衛手段と考えます。過度な負担から自分を守るため、感受性を麻痺させることで苦痛を軽減し、その結果としてうつ症状や睡眠障害が現れると位置付けています。
一義流気功のアプローチは、まず「異常反応」(幼少期に形成される潜在意識の不合理な恐怖心)を解体し、心の自然治癒力が働きやすい土台を整えます。次に、「心の毒」(精神的苦痛)を減少させ、精神状態の回復を促します。心の毒が一定量減ることで、感受性の麻痺が不要となり、潜在意識がうつ症状や睡眠障害を解除しやすくなります。
また、一義流気功では薬の全否定はせず、必要に応じて睡眠薬の利用も肯定し、まずは睡眠を確保することを重視します。さらに、個々の状態や原因を潜在意識から情報として引き出し、その人に合った最適な施術や日常生活でのアドバイスを行う点が特徴です。
小池義孝の本
『知るだけで防げる うつの本』は、異常反応と心の毒との関係性を説明。『忘れたい過去が最短1分で消える!』は心の毒を自分で消すワークをご紹介しています。



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