猫背・反り腰の完全改善ガイド。原因から治し方まで専門家が徹底解説!

心身の健康

猫背と反り腰は、まったく違うように見えます。猫背は前屈みで見るからに猫背ですが、反り腰の場合、一見すると正しい姿勢のようにも見えるからです。けれどもその内実を見ると、実は猫背でもあり反り腰でもある、複雑で奇妙な状態になっています。ここではそれを、『反り腰猫背』と呼びます。

反り腰猫背は、どのようなものか? 何故、反り腰猫背になるのか? 予防法、改善法は? を詳しく解説していきます。

反り腰猫背とは何か?

正常な背中のS字カーブ

イラストは、背骨を横から見た図です。このS字カーブには、歩行や走行時の衝撃を和らげ、正しい姿勢を取りやすくし、脊髄や神経根を保護し、内臓呼吸や消化機能を正常に働かせる、など重要な役割があります。

反り腰猫背とは?

反り腰猫背とは、一言で本質を表現すれば「姿勢の間違った帳尻合わせ」です。まず初めに、猫背があります。前屈み姿勢でいる内に背骨が曲がって固まり、伸ばしても元に戻せなくなってしまいました。そこで反り腰の出番です。腰を前に突き出して、全体として背中が伸びている状態を作ろうとします。要は、上が曲がった分、下を逆に曲げてバランスを取ろうとしているのです。

ですから反り腰猫背の人は、一見すると姿勢良く見えるかもしれません。前屈みが反り腰でカバーされているので、本人としては、自分は猫背ではないと思っているでしょう。けれどもその内実は、骨の曲がりを見れば明らかに猫背で、腰を無理に突き出す間違った帳尻合わせに過ぎません。

反り腰猫背の悪影響

正常なS字カーブが失われた代償は、様々な不調と症状になって表面化します。筋硬直、神経の圧迫、血流の悪化、内臓への圧迫など、健康を害する大元になります。ですから派生して多くの様々な症状や病気に繋がっていくのですが、ここでは比較的に因果関係が直接的で代表的なものを挙げます。

肩こりと腰痛のラリー

猫背で前屈みになると、肩こりが生じます。反り腰で前傾を緩和させると、肩こりは楽に。けれどもその代わり、腰に負担がかかって腰痛になります。腰痛を緩和させようと反り腰を解除すると、今度は前屈みが強くなって肩こりに。屈めば肩こり引けば腰痛といった具合に、肩こりと腰痛の往復になります。

腰椎への過度な負担が生み出す症状

腰の筋肉の耐久性を落とし、ぎっくり腰になりやすい環境になります。状態悪化が進めば、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症のリスクが高まります。

内臓への悪影響

猫背により内臓が下がり、便秘や胃腸の調子悪化、婦人科系の問題、妊娠困難などのリスクが高まります。

呼吸と代謝

肋骨が固くなることで呼吸が浅くなり、代謝低下や免疫力低下、循環器への負担増加につながります。

むくみと冷え症

リンパの流れが悪くなり、むくみや冷え性の原因となります。

外見の印象

反り腰を伴わない普通の猫背に比べると、良い姿勢のようにも見えます。ただ腰を前に出すことでお腹がぽっこりと出て、肩が前に巻かれた姿は、昔の地獄絵で描かれる餓鬼に似た貧相な印象になります。

反り腰猫背のセルフチェック

壁を使った簡単セルフチェック

壁を使った姿勢チェックは、自宅で簡単に行える効果的な方法です。以下の手順で実施してください:

1,壁に背中をつけて立ちます。

2,かかと、お尻、背中、後頭部を壁につけます。

3,腰と壁の間に手を入れます。この腰と壁との隙間の大きさで、判断します。

手のひら1枚分(約2cm)程度の隙間が適切。拳が入るほど隙間が大きい場合は、反り腰の可能性があります。

仰向けで寝て行うセルフチェック

1,硬い床の上に仰向けに寝ます。

2,膝を伸ばした状態で、腰と床の間の隙間を確認します。

立って行うチェックと、やる事は同じです。後頭部や背中が自然と付くので、こちらの方が楽かもしれません。判断基準も同様で、手のひら一枚分よりも大きい隙間がある場合は、反り腰の可能性があります。

3,膝を曲げた状態でも同様にチェックします。

膝を曲げても隙間が消えない場合は、骨盤の前傾が固定化されている可能性があります。

鏡を使ったセルフチェック

自分自身の姿を客観視して、見た目で判断するやり方です。要は、

この姿に近いかどうかのチェックなのですが、気を付けるポイントをお伝えします。

鏡に横側の姿を写します。いつもの普通どおりに、自然に立ってください。まず着目すべきは、腰の反りとお腹の出っ張りです。お腹がぼこっと出て腰の凹みが強いようなら、反り腰が濃厚です。そして次に、背中の上の角度を確認します。角度が急に見えれば、猫背が濃厚。

次に、反り腰を治すように腰を立てます。この時、連動して前屈みになっていたら、反り腰猫背で間違いないでしょう。

反り腰猫背の原因

猫背の帳尻合わせ

既にお伝えしたように、反り腰猫背は誤った帳尻合わせで起こります。その主なルートは2つです。一つには、前屈みで背骨が固まってしまったまま、何とか姿勢を良くしようと努力した結果。もう一つには、首こりや肩こりなど、不快感から逃れようと調整した結果です。後者の場合には、本人はまったく意図しておらず、無意識でやっているケースも多いです。

以下は、その前提になる猫背の原因です。

姿勢意識の誤り

多くの人が、良い姿勢を履き違えています。力を入れて背筋をピンと伸ばしている状態を、良い姿勢と認識しています。けれどもそんな意識して力んだ状態を、常に維持できるはずはありません。仮に出来たとしても、今度は筋肉疲労で別の意味でおかしくなります。では悪い姿勢とは、逆にどんなものなのでしょうか?それは正しい姿勢とは対で、楽に力を抜いた状態です。

楽に力を抜いたら姿勢が悪くなる。良い姿勢は頑張って取るもの。このように姿勢についての認識が歪んでいたら、油断をしたら猫背になるのでは、それは猫背だらけになって当然です。

スマホの影響

もはや日常生活でも仕事でも必需品になったスマートフォン。これ一台で様々なタスクをこなせるとあって、使用時間が長くなるのは避けられません。そこで下を向き続けていると、当然、猫背の原因になります。

デスクワークの影響

現在のデスクワークは、PC操作がメインになっています。長時間、座り続けて前屈み姿勢を取っていれば、やはり猫背の原因となります。これはモニター、マウス、キーボードの高さで事情が大きく変わってきます。

何か作業をする時は、基本的に前屈みが多い

スマホとPC操作を代表例としてお伝えしましたが、人間が何かをする際には、基本的に前屈みが多いです。本を読む、字を書く、料理や洗い物をする、掃除機をかけるなど。逆に、背中を後ろに反らせる機会は、体操やストレッチでもしない限りはそうはありません。こうして前屈み時間の負荷が合計され、猫背の原因が積み重なって行きます。

性格、精神状態の影響

名は体を表すという言葉がありますが、それと似て姿勢はメンタルを表します。人は半ば無意識に、自分の性格や精神状態を姿勢に反映させています。自信満々の人は胸を張って上を向きますし、自信がない・落ち込んでいる人は下を向きます。前屈みでいる内に固まってしまう他にも、自信のなさや落ち込みが前屈み姿勢を作っているケースもあります。

反り腰猫背を改善するアプローチ

膝を立てて、仰向けで横になる

仰向けに寝て膝を立てることで、反り腰を矯正します。膝を立てれば、前傾した骨盤を後ろに戻す圧がかかります。そして仰向け寝によって、重力で腰を下に引っ張ります。ポイントは、とにかく力を抜くだけ。

開始時に、手を入れて腰の凹みの大きさを確認しておきます。感覚的に腰が下がってくるのが分かりますので、また手を入れて違いを見てください。何分という決まりよりも、ある程度以上、結果が出るまでという方が良いです。5分程度で、多くの人は結果が出ると思います。

バランスボールに仰向けになる

バランスボールに仰向けになって、足で前後に転がします。背中を万遍なく逆に反らせる簡単なストレッチです。両手を広げて胸を開く意識を加えると、巻き肩矯正も兼ねます。固まっている筋肉が伸ばされるので、やり始めは痛みや張りを感じます。何分というよりも、伸びてその感覚が緩和するまで行うと良いでしょう。2~3分という短時間でも、十分な結果が出ます。

姿勢改善、枕ストレッチ

日常生活の中で、背骨を逆に反らせる機会はほとんどありません。ラジオ体操のような背中を反らせる運動も良いのですが、ここではもっと簡単なストレッチをご紹介します。名付けて、『姿勢改善、枕ストレッチ』です。やり方は簡単です。枕を置いて、その上に仰向けで寝るだけ。後は体重と重力に任せておけば、背骨を逆に反らせてくれます。腰、背中の真ん中、背中の上と、三か所くらいに分けて、それぞれ2~3分も行えば十分に効果が出ます。

勿論、枕は例えばなので、他の物でも構いません。ちょうど良い感じに背中を反らせれば何でも良いです。座布団を折りたたんだり、バスタオルをくるくる巻いたり、しっくり来るものを見つけてください。少し痛いけれど気持ちよく、痛すぎないくらいの高さで行います。

大腰筋ウォーキング

全身の筋肉をほぐし、正しい姿勢を取るために必要な筋肉を鍛えるには、ウォーキングが一番です。良い姿勢で大股にハイピッチで歩くことで、必要な効果を万遍なく得られます。

コツは、足の付け根意識です。ほとんどの人は、足の付け根を股関節の高さでイメージしています。骨格で見ればその通りですが、実は筋肉で見ると大腿骨を動かす起点は鳩尾の辺りにあります。鳩尾から足が生えている、鳩尾から足を動かし出す意識で歩いてみてください。これは大腰筋ウォーキングと言って、素晴らしい健康効果をもたらします。筋肉をほぐして骨盤などの歪みも修正される、歩くだけ整体です。下記の画像は、「大腰筋ウオーキング」とは【疲れない!痛めない!体の使い方ビフォー・アフター手帖】(著 小池義孝)の1ページです。

エクササイズの組み合わせ方

膝を立てて、仰向けで横になる』で反り腰を矯正して、残った猫背を『バランスボールに仰向けになる』or『枕ストレッチ』で矯正する順番で行いましょう。その上で普段は、『大腰筋ウォーキング』で良い姿勢の筋肉を鍛えてあげれば、極めて効率的に反り腰猫背をセルフケアできます。

ここにプランクやスクワットなどの筋トレを組み合わせるのも、さらに効果的です。

整形外科に行くべき時

痛みやしびれが強い場合は、整形外科での診断を受けてください。MRIやX線検査で背骨や椎間板の状態を確認し、状態に応じた治療が施されます。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの場合には、手術が必要になるケースもあります。

姿勢改善に必要な日常生活上での心得

前屈み姿勢を回避

スマホは、顔の位置まで上げる。PCモニターを高くする。など、前屈みになる機会、時間を減らしてください。ノートパソコンでは、モニター位置を上げればキーボードが使い難くなります。その場合には、外付けキーボードを検討してください。

前屈み姿勢をちょくちょくリセット

何をするでも、やはり前屈み姿勢は多くなるものです。ある程度は仕方ありませんが、長時間、前屈みで居続けるのは避けましょう。ちょくちょく背筋を伸ばして、軽くストレッチでもしてリセットしてください。立ち上がって、ちょっと歩いたり体操したりも良いです。

運動不足にならない

あまりに運動不足になると、姿勢を維持する筋肉すら衰えます。また血行も悪くなり、筋肉も固まりやすくなります。在宅ワークの人などは特に、油断して運動不足にならないようにしてください。

ぬるま湯でお風呂に浸かる

38~39度の設定のお風呂に、連続で30分以上、浸かるようにしてください。温度設定が重要で、高いと逆に体が芯まで温まらなくなります。全身浴だと辛くなりますから、半身浴でも良いですし、寝そべるように背中が浸かって胸の前が出ている形でも良いです。30分以上で芯まで温まり、全身の血流が良くなります。

より良く睡眠をとる

睡眠の質と時間は、心身の健康に極めて重要です。間違っても、短い睡眠時間を習慣化させないようにしましょう。

ストレス状況下に自分を追い込まない

生活していれば、ストレスはあって当たり前です。人間の在り方として、確かに前向きさや我慢も大切です。ちょっとくらいの嫌なことで職を転々とするようでは、それはそれで人生が大変です。ただ心身の健康を蝕むレベルでストレス状況下に在り続ければ、全ての土台が壊れてしまいます。

真面目な人ほど、前向きで他人や環境に合わせる選択をしますが、「自分もちゃんと大切にする」という価値を組み込んで考え直し、バランスの良い環境を選んでください。

一義流気功での取り組み

姿勢の意識、歩き方の指導などを行います。また筋肉と骨格の状態を見て、緩める治療、必要であれば矯正も行います。ほとんどの方が、初回、その場で変化を実感します。反り腰が改善すると、明らかに腰が楽になります。猫背が治れば、慢性的な肩こりも自然と軽減します。

結論とまとめ

反り腰猫背は、猫背から始まり、それをカバーしようとして反り腰になります。姿勢が良いようにも見えますが、実は猫背という歪みに、反り腰という別の歪みを加えているだけです。

反り腰と猫背、双方にアプローチすることで改善可能です。硬直の程度によって、相応の時間はかかります。一気に治そうとせず、少しずつ前進していく意識を持ってください。

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著者が長年の臨床経験から導き出した「4つの意識」を中心に、猫背の原因や影響、改善方法を分かりやすく解説しています。

特別な器具や難しい運動を必要とせず、日常生活の中で意識を変えるだけで姿勢を矯正できる方法を提案しています。自分の体の状態を理解し、簡単に実践できるテクニックを学ぶことができます。ぜひ一度手に取ってみてください!

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