躁うつ病、双極性障害とは何か?

症状と一般的な治療法~うつ病との比較
うつ病と躁うつ病(双極性障害)は、どちらも気分障害に分類される精神疾患ですが、症状や治療法において明確な違いがあります。
うつ病は、主に気分の落ち込みや意欲の低下が長期間続く疾患です。患者は悲しみや憂鬱感を抱き、何をしても楽しいと感じられなくなります。また、不眠や食欲不振、疲労感、集中力の低下などが見られることがあります。この状態が慢性的に続くため、生活の質が大きく損なわれるのが特徴です。治療では主に抗うつ薬が用いられ、症状の緩和を目指します。
一方、躁うつ病(双極性障害)は、うつ状態と躁状態を繰り返す疾患です。躁状態では気分が異常に高揚し、多弁、多動、自尊心の過剰な高まり(万能感)などが現れます。睡眠が少なくても活動的になり、浪費や衝動的な行動が目立つ場合もあります。このような躁状態と抑うつ状態が周期的に現れる点で、うつ病とは大きく異なります。また、躁うつ病にはⅠ型(激しい躁状態)とⅡ型(軽い躁状態)の2種類があり、それぞれ症状の程度や診断基準が異なります。
治療法にも違いがあります。躁うつ病では「気分安定薬」や「非定型抗精神病薬」が用いられ、躁とうつの波を抑えることが目標です。もし躁うつ病であるにもかかわらず抗うつ薬のみで治療すると、症状が悪化する恐れがあります。
原因
躁うつ病(双極性障害)の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因と生物学的要因、環境要因が複雑に絡み合っていると考えられています。遺伝的要因としては、家族歴が重要視されており、一卵性双生児で片方が発症した場合、もう一方も発症する確率が約80%と高いことが知られています。これにより、遺伝子が発症に大きく関与している可能性が示唆されています。
生物学的には、脳内の神経伝達物質(ノルアドレナリンやセロトニンなど)の調節異常が関連しているとされています。また、甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患や特定の薬物も引き金となることがあります。さらに、ストレスの多い出来事や生活環境も発症や再発の要因となり得ます。
これらの要因が相互に作用し、躁うつ病を引き起こすと考えられています。
一義流気功では、躁うつ病をどう捉える?

うつ状態から脱出を試みる
うつ病も躁うつ病も、多くのケースでストレスと肉体疲労を原因にします。精神的苦痛に対して精神力の均衡が取れず、感受性と感覚を麻痺させて心の防御に入る。このメカニズムは、うつ病も躁うつ病でも同様です。うつ病と躁うつ病とは、近しい親戚関係あたりの関係性です。
違いは、その後の対応です。うつ病では、そのまま麻痺させた状態で静かに回復を待ちます。一方、躁うつ病では、精神力が溜まると激しく精神を興奮させ、うつ状態から脱出を試みます。そしてエネルギーが切れると躁状態をキープできなくなり、またうつ状態に戻ります。これを繰り返します。
対処法のミスマッチ
躁うつ病では、対応の仕方にミスマッチが見られます。一方ではエネルギーを充電しようとし、もう一方ではそれを使い切ってしまう。ここには生き物としての、本能的な反射があります。うつ状態は心の回復であり、むしろ意味としてはポジティブです。しかし感覚も意欲も薄らいでいては、生物としては危険です。そこでエネルギーが少し溜まると、強引に精神を持ちあげて脱出を図ろうとするという訳です。
それでは、うつ病で留まる人と、躁うつ病に入る人とで、何が違うのでしょうか? それは遺伝で引き継がれた、個々の肉体差にあります。躁状態で生命の危機を脱した成功体験を持つ個体、あるいはうつ状態にあって危機に陥った個体、そういった所からうつ状態を嫌い、可能な限りそこから脱出しようとする遺伝子を受け継いだものと考えられます。
躁うつ病を発症させる過程
少し繰り返しになりますが、ここで躁うつ病を発症させる過程をまとめておきます。
生活していく中で、何らかの出来事があり強い精神的苦痛を生み出します。一義流気功では、これを心の毒と呼びます。心の毒は気の一種で、形あるエネルギーです。生み出された心の毒は増えて蓄積され、精神状態の下降圧力が強まります。ここで肉体的な疲労などがあると、精神力が減衰します。精神力が弱まるほど、良い精神状態でいるのが難しくなると同時に、心の毒への耐性が下がります。その力関係が精神を崩壊させる危険ラインに達した時、精神は感受性と感情を麻痺させて心の防衛に入ります。そこで躁うつ病になりやすい遺伝を持つ者は、うつ状態から脱しようと躁を発動させます。ただ通常、これは少ない燃料を一気に燃やすような作業なので、長続きしません。エネルギー切れを起こして躁を維持できず、またうつ状態に戻ります。これを繰り返します。
精神的苦痛は、突発的に大きなもの、比較的小さいものの連続、それぞれがあり得ます。後者の場合、肉体的にも追い詰められ、精神力も削られているのが通常です。
一義流気功では、躁うつ病にどう対応するの?

基本路線は、対うつ病と同じ
鬱が先か躁が先かという観点では、鬱が先に来ます。ですから対応すべき相手は、鬱症状の側です。既にお伝えしたように、鬱は心の防衛手段です。精神的苦痛が心の耐久性を超えそうになった時、感受性や感情を麻痺させて崩壊を回避しようとします。
精神的苦痛の強さを減らし、精神的苦痛に耐える精神力を上げる。そうして麻痺させる必要性がなくなった時、うつ状態は自然と解除されます。そうなれば無理に躁で上げる意味もありませんので、双方が落ち着くという訳です。
異常反応の解体と心の毒の減少
異常反応の解体は、一義流気功独自の治療法です。異常反応は心の毒を溜め込み、ストレスとトラウマを強くします。大量の異常反応を抱えることで、心の自然治癒とのバランスが崩れ、心の毒が蓄積。結果として、うつ状態に入る前提が作られます。
この異常反応の解体によって、心の毒を減少させ、ストレスとトラウマを弱くさせます。
肉体へのケア
精神力を回復させる上で、肉体へのケアも必要になります。施術においても、異常反応や心の毒に対応するのとは別に、肉体へのアプローチを行う場合もあります。
考え方、価値観の修正
躁状態でのやらかし
躁うつ病に特有の問題として、躁状態でのやらかしがあります。過度な浪費、無謀なチャレンジ、対人トラブルなど、冷静になった時に振り返ると、後悔や自責の念で心の毒を増やしてしまいます。躁に入る以上、完全に全てを避けるのは難しい。それを受け入れて、上手く付き合う意識を持ちましょう。
心の毒を生み出す思考回路
客観的には同じ出来事でも、生み出される心の毒は主観で異なります。自分に厳しい、被害者意識が強い、など心の毒を大きく生み出す思考回路の中には、修正が必要なものもあります。
自律神経を整える
自律神経は、メンタルからも肉体からも崩れます。躁うつ病の場合、やはりメンタルから乱れる方向性が大半になるかと思います。これは心の毒の減少とともに修正されるのが基本ですが、肉体の状態、日常生活の過ごし方も重要です。あくまでも一例ですが、腰の硬直から足元が冷え、そこから自律神経を狂わせる。リラックスしていれば良いだろうと、ただのんびり過ごしていて副交感神経に偏り過ぎるなど、その人によって背景は様々です。
潜在意識から情報を引き出す
全ての取り組みは、潜在意識から情報を引き出した上で行われます。ある人は異常反応が大きく、その解体が必須です。またある人は、異常反応はさほど高くないものの価値観や考え方で自分を追い詰めています。この場合、それを組み替えるのが必須です。またある人は、異常反応が大きく、身を置く環境も過酷で、価値観や考え方でも自分もさらに追い詰めています。全ての要素をてこ入れして、トータルで改善できるラインまで持ってくる必要があります。
このように同じ躁うつ病という状態でも、それに至った個々の原因、事情は異なります。潜在意識は、それを詳細に伝えてくれます。
精神薬との兼ね合い
躁うつ病に対して、精神薬は「気分の上限、振り幅の縮小」という方向性で用いられます。日常生活の維持、破滅的な行動を取らないために精神薬が有益であるなら、これを必ずしも否定はしません。ただ将来的には、減らす、無くす方向性を推奨します。
Ⅱ型(軽い躁状態)の考え方
うつ病の人の調子の良い状態なのか、軽い躁状態なのか、これを見分けるのは専門家でも困難です。医学的な判断基準はありますが、形が見え難いもので主観も介在します。どちらとも言えない、グレーゾーンもあるでしょう。ですからここは、思考と行動の合理性を一つの基準にします。
普通の経済状況の人が、いきなり数十万円のブランド品をいくつも衝動買いという行動に出たなら、これは分かり易く躁状態です。Ⅱ型ではなく、Ⅰ型(激しい躁状態)と見做されるでしょう。ですからここでは、極端さではなく非合理性をどれ程に含んでいるのかで判断します。怒鳴り散らすではないけれど、道理に合わない言い掛かりで攻撃的になる。高額ではないけれど、不必要な物を買う。など、極端ではないけど普通ではない部分に注意をします。
まとめ、結論
双極性障害は気分の極端な波(躁・鬱)を特徴とし、うつ病との最大の違いは「気分高揚期の存在」にあります。特にⅡ型障害では軽躁状態の見極めが難しく、抗うつ薬単独治療が症状悪化を招くリスクが指摘されます。一義流気功は「心の毒」と「異常反応」という概念を軸に、従来医療とは異なる根本治療を展開。潜在意識レベルでストレスやトラウマを減衰させ、思考回路再構築、肉体の健康整備、自律神経調整を並行させます。
小池義孝の本
『知るだけで防げる うつの本』は、異常反応と心の毒との関係性を説明。『忘れたい過去が最短1分で消える!』は心の毒を自分で消すワークをご紹介しています。



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