便秘は、特に女性に多くみられる一般的な健康上の悩みの一つです。その原因は単一ではなく、生活習慣や食事内容、心理的ストレス、身体構造の違い、さらにホルモンの影響など、複数の要因が複雑に絡み合っています。
本稿では、女性に便秘が多い理由を掘り下げ、日常生活で取り入れられる解決のヒントを解説します。
女性に便秘が多い理由

女性に便秘が多い背景には、次のような要因が考えられます。
- 生活習慣と食生活
- ストレスや心理的要因
- 身体構造とホルモンの作用
以下、それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。
生活習慣と食生活
現代の忙しいライフスタイルでは、食事時間が不規則になりやすく、ファストフードや加工食品に頼る場面が増えています。これらの食品は食物繊維が不足しがちであり、腸の動きを鈍らせ便秘の原因となります。さらに、水分摂取量の不足も便秘に直結します。水分は便を柔軟に保ち、腸の蠕動運動をスムーズにするため、慢性的に足りない状態では便秘のリスクが高まります。
ストレスと心理的要因
ストレスは自律神経の働きを乱し、消化器の機能低下を招きます。腸の動きが停滞すると、便が長時間滞留しやすくなり便秘につながります。
特に女性は、家庭や職場での役割、社会的期待、対人関係の負担など、複合的なストレスを受けやすく、その影響が腸機能にも及びやすい傾向があります。
身体構造とホルモンの影響
女性の骨盤は、妊娠・出産に適応するため男性とは異なる構造を持っています。この形状のため、腸が骨盤内で圧迫されやすく、便の排出が滞る要因となります。さらに、月経周期に伴うホルモン変動も無視できません。特に生理前にはプロゲステロンの分泌が増加し、腸の蠕動を抑制することで便秘を引き起こすことがあります。
女性の便秘は、日常生活や体質・ホルモンの影響が複合的に関与しています。しかし、食物繊維や水分の十分な摂取、定期的な運動、リラックスを心がけるなど、日常の工夫で改善は十分可能です。便秘に悩む方は、一つひとつの要因を見直すことから始めてみましょう。
機能性便秘は原因によって3タイプ

便秘は単なる一つの症状ではなく、その背後には多様な原因が潜んでいます。中でも「機能性便秘」は、腸や消化管に明確な器質的異常が見られないにもかかわらず、排便が滞る状態を指します。この機能性便秘は、原因の違いによって大きく3つのタイプに分類されます。
ここでは、弛緩性便秘・けいれん性便秘・直腸性便秘の3タイプについて、その特徴・原因・対処法を解説します。
弛緩性便秘
弛緩性便秘は、大腸の運動機能が低下することで起こります。腸壁の筋肉の働きが弱まり、便を押し出す力が不足するため、便が腸内に長くとどまり、硬く乾燥しやすくなります。
主な原因としては、運動不足や加齢、食物繊維の不足、さらには特定の薬剤の副作用などが挙げられます。対処法としては以下の点が効果的です。
- 定期的なウォーキングなど、軽い運動を習慣化する
- 野菜や海藻、果物など、食物繊維を多く含む食品を意識的に摂取する
- 十分な水分補給を心がける
これらを継続することで、腸の運動機能が改善され、自然な排便サイクルが整いやすくなります。
けいれん性便秘
けいれん性便秘は、大腸の筋肉が過剰に収縮したり、けいれんを起こしたりすることで、便の通過が妨げられるタイプです。腹痛やガスの膨満感を伴うことが多く、排便のたびに痛みや違和感を感じます。原因としては、精神的ストレスや緊張状態、または特定の刺激物(カフェイン、香辛料など)の摂取が関係しています。対処法として、腸を落ち着かせる「ストレスケア」が有効です。
- 深呼吸や瞑想、ヨガなどで自律神経を整える
- 刺激の強い食品やアルコールを控える
- 十分な睡眠と規則正しい生活リズムを保つ
腸の過敏な反応を和らげることで、けいれん性便秘の症状緩和が期待できます。
直腸性便秘
直腸性便秘は、便が直腸まで到達しても排出が上手くできない状態を指します。これは、直腸や肛門周辺の感覚異常や、排便時の筋肉の協調運動の乱れ、心理的な抑制などが関係しています。
代表的な症状として、「便意を感じても出にくい」「時間をかけても排便できない」といった訴えがみられます。
改善のためには、排便リズムを整える生活習慣が重要です。
- 毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつける
- 朝食後など、腸が動きやすい時間帯に排便を試みる
- 軽い運動を取り入れ、腹圧をかけやすい体づくりを意識する
また、長期間続く場合は専門医に相談し、筋肉の協調訓練(バイオフィードバック療法)や生活指導を受けることも有効です。
生理前の便秘解消のためにできる5つのこと

生理前になると、ホルモンバランスの変化により多くの女性が便秘を感じやすくなります。この時期はプロゲステロンの分泌が増加し、腸の蠕動運動が鈍るのが主な要因です。しかし、適切なケアを行えば、生理前の便秘を和らげ、快適な日常を保てます。
ここでは、生理前の便秘を改善するための具体的な5つの対策を紹介します。
1. 食物繊維を多く含む食事を意識する
食物繊維は、便秘対策の中心になる大切な栄養素です。便のかさを増やし、腸を刺激して排出を助けます。生理前は特に、野菜・果物・全粒穀物・豆類など、繊維を豊富に含む食材を意識的に摂ると良いでしょう。また、食物繊維を増やすときは、水分もしっかり補いましょう。繊維が水を吸収して膨らむことで、排便がスムーズになります。
2. 水分を十分にとる
水分不足は、便秘の大きな原因です。水をこまめに飲むことで便が柔らかくなり、腸内で円滑に移動します。生理前はホルモンの影響で体内に水分が滞りやすくなるため、通常よりやや多めの水分補給を意識すると理想的です。水、ハーブティー、果物からの自然な水分摂取もおすすめです。
3. 定期的に身体を動かす
軽い運動は腸の働きを活発にし、排便を促します。生理前にはウォーキングやストレッチ、ヨガなど穏やかな動きを中心に取り入れるのが効果的です。適度な運動は血流を改善し、自律神経のバランスも整えるため、便秘だけでなく生理前特有の不快感の軽減にもつながります。
4. ストレスを上手にコントロールする
ストレスは腸の働きを鈍らせる代表的な要因です。生理前は感情が不安定になりやすいため、深呼吸や瞑想、好きな趣味の時間を設けるなど、心を落ち着かせる工夫が効果的です。リラックスすると副交感神経が優位になり、腸の動きが自然に整います。
5. プロバイオティクスを取り入れる
プロバイオティクスは腸内環境を整え、自然な排便リズムを導く働きを持ちます。ヨーグルトや納豆、味噌、キムチなどの発酵食品は善玉菌を増やし、腸内のバランスを改善します。サプリメントで補う方法もありますが、まずは食事から取り入れるのがおすすめです。
更年期が原因で便秘になる?

更年期は、女性のライフステージの中で避けて通れない自然な過程です。この時期、体はホルモンバランスの大きな変化にさらされ、さまざまな症状を経験します。便秘もその代表的なひとつであり、更年期を迎えた多くの女性が悩まされます。
では、なぜ更年期になると便秘が増えるのでしょうか。ここでは更年期と便秘の関連性、その原因を詳しく解説します。
更年期と便秘の関係
更年期はおおよそ45歳から55歳の間に訪れ、卵巣の機能は次第に低下し、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が著しく減少します。エストロゲンは骨や血管、皮膚だけでなく、消化器の働きにも影響を与えるホルモンです。そのため減少すると腸の蠕動運動が鈍くなり、排便までの時間が長くなります。これが更年期に便秘が起こりやすい理由のひとつです。
便秘を招く更年期の主な原因
- ホルモンバランスの変化:エストロゲンの減少は腸の動きを弱め、便の進行を遅らせます。
- 水分保持能力の低下:エストロゲンは体の水分バランスにも関与しています。減少すると水分保持機能が低下し、便が硬くなりやすくなります。
- 生活習慣の変化:体調やメンタルの変化が運動量の減少やストレス増加につながり、腸の働きをさらに低下させます。
- 食生活の乱れ:食欲や味覚の変化、栄養バランスの偏りが便通のリズムに悪影響を与えます。
快適に過ごすための対策
更年期の便秘は、食物繊維を意識した食事、水分補給、適度な運動、ストレス緩和によって軽減できます。これらを日常に取り入れるだけでも腸の働きは改善しやすくなります。症状が続く場合は、自己判断で我慢せず、医療機関で専門的なアドバイスを受けましょう。
薬を飲んでも大丈夫?妊娠中の便秘対策

妊娠は女性の体に多くの変化をもたらします。その一つが便秘です。ホルモンバランスの変動、子宮による腸の圧迫、鉄分補給剤の副作用などが原因となり、多くの妊婦が不快感を抱えます。
妊娠中の便秘を安全に解消するためには、まず薬に頼る前に生活習慣を見直すことが基本です。特に薬の使用は胎児への影響を考慮し、医師と十分に相談する必要があります。
生活習慣の改善ポイント
- 水分補給:水分が不足すると便が硬くなり排出しにくくなります。こまめな水分摂取を意識しましょう。
- 食物繊維の摂取:野菜、果物、全粒穀物、豆類をバランスよく取り入れ、腸の動きを促します。
- 適度な運動:ウォーキングやマタニティヨガなど、妊娠期でも安全に行える運動を取り入れます。
- 規則正しい生活:食事・睡眠・活動のリズムを一定に保つことで腸の働きが安定します。
- 排便習慣の定着:便意を我慢せず、毎日決まった時間にトイレへ行く習慣を持ちましょう。
薬の使用について
妊娠中はどの薬も胎児に影響する可能性があります。便秘が長引く場合でも、薬を使う前に必ず医師に相談してください。多くの場合、生活習慣の改善だけで症状は改善します。それでも効果が出ない場合は、医師が安全と判断した便秘薬を処方することがあります。自己判断で市販薬を使用するのは避けましょう。
一義流気功治療院では、女性の便秘にどう対応するの?

それでは一義流気功では、女性の便秘にどう対応するのでしょうか。腸の機能を活性化、正常化させる方向性で働きかけます。
大腸の硬直
便秘の直接的な原因に、大腸の硬直があります。硬直によって動きが阻害され、結果として便秘につながります。現代医療では、消化管運動調節薬や漢方薬(桂枝加芍薬湯など)などの薬物療法で対応可能ですが、薬の常用にはやはりリスクもあります。副作用もそうですが、体が薬に頼って腸の機能自体が落ちてしまうのです。
一方、一義流気功による施術には、そのリスクやデメリットがありません。肉体に備わっている恒常性、この場合には腸をゆるめる機能を動かして、もっとも自然な形で問題を解決させます。
腰や横隔膜の硬直
実は腸そのものではなく、周辺の硬直が原因になっているケースも多くあります。特に腰と横隔膜は、固まれば大腸を巻き込んで身動きを取れなくし、そこから便秘につなります。
腰、横隔膜をゆるめたその場で、大腸がぎゅるぎゅると動き出すのはよくある光景です。
自律神経へのアプローチ
ストレスなどで交感神経が優位になっていると、腸の活動が鈍ります。この場合、副交感神経に深く入れる治療が用いられ、交感神経優位で固定してしまった状態をリセットします。また精神的苦痛(心の毒)の過剰な蓄積があれば、これを直接的に減らす治療も行われます。
更年期障害
更年期障害については、それ自体は必ずしも異常ではありません。普通に訪れる「そういう時期」という側面も強いものです。ただ同じ更年期でも、重く長くかかるのか、軽く短く済むのかの違いはあります。できるだけ苦労しないよう、必要な対応をしています。
潜在意識から情報を引き出す
潜在意識は、認識できない深い精神領域です。潜在意識には莫大な情報があり、便秘についても、その経緯と原因が完全に把握されています。そこから情報を引き出すことにより、一人一人の状態に合わせた適切な対応が可能になります。
例えば、腸自体が硬くなっているのか、水分量は足りているのか、運動量はどうか、ストレスはどうか、といった項目で明確に回答が得られます。それに応じて、治療内容、日常生活で行う自身の取り組みが定まります。
まとめ、結論
女性に多い便秘は、生活習慣やホルモン、身体構造、ストレスなど多面的な要因が関与しています。食物繊維や水分の摂取、運動、ストレスケアが基本対策となり、ホルモン期や更年期、妊娠期ごとの体調変化を理解し生活習慣を整えることが大切です。
一義流気功では、腸やその周辺の硬直を解除し、自律神経や潜在意識に働きかけて自然な排便リズムを回復させる施術を重視しています。
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