気功の起源
気功の起源は、古代中国にさかのぼります。紀元前の時代から、中国では自然と調和し、体内のエネルギーを調整する方法が探求されていました。気功はこの探求の成果であり、中国の伝統医学、武術、哲学の融合から生まれた訓練法です。
最も初期の形の気功は、「導引」と呼ばれる体操や呼吸法に関連しています。これらは、体の健康を維持し、寿命を延ばすことを目的としていました。古代の道教の修行者たちは、自然界との一体感を深め、内なるエネルギーを高めるために気功を実践していました。
漢代(紀元前206年 – 紀元220年)には、気功は医学の分野においても発展し、「気」という概念が体系化されました。この時期、気功は体内の「気」の流れを調節し、病気の予防と治療に利用されるようになりました。
中世の中国では、気功は仏教と道教の影響を受け、精神的な成長や悟りを求める修行法としても発展しました。この時期には、静的な瞑想や動的な運動が組み合わされ、身体と心の調和を目指す修行として確立されたのです。
近代に入ると、気功は中国の国境を越えて広まり、西洋の医療やウェルネスの分野で注目されるようになりました。現代の気功は、健康増進、ストレス緩和、身体的な不調の改善など、多様な目的で実践されています。
そもそも「気」とはなにか

「気」とは、中国の伝統医学や哲学における中心的な概念で、生命エネルギーまたは生命力を意味します。古代中国の思想では、宇宙や生物の根本的なエネルギーとして理解され、すべての生命活動の源とされています。
気は、見えないが感じることのできるエネルギーで、人間の健康、感情、精神状態に密接に関連しています。中国の伝統医学では、気の流れが身体の健康や病気の状態を左右すると考えられています。
体内の気のバランスが崩れると、病気や不調が生じ、気の流れが良好な状態を保つことが、健康を維持する鍵とされています。気功や太極拳などの伝統的な訓練法では、この気の流れを調整し、強化することを目指します。
呼吸法、身体の動き、瞑想を通じて、気の流れをスムーズにし、体内のエネルギーバランスを整えることが重視されます。これにより、身体の自然な治癒力を促進し、健康とウェルビーイングを向上させることが可能になります。また、気は、人間の内面と外界との間の相互作用にも影響を与えると考えられています。
人々は環境や他者との交流を通じて気を交換し、身体的、精神的なバランスを保つとされます。現代では、気の概念は、東洋医学だけでなく、西洋の代替医療やウェルネスの分野でも取り入れられ、幅広く応用されています。この古代から伝わる概念は、健康と調和を求める人々にとって、重要な意味を持ち続けています。
体内の気を循環させる「内気功」

内気功は、中国の伝統的な気功練習法の一つで、体内の「気」の流れを調節し、循環させることを目的としています。この手法は、身体と心の健康を向上させるために、深い呼吸、瞑想、身体の動きを組み合わせて行われます。
内気功の基本は、自己の体内にある気の流れに意識を向け、それを調節することです。この過程では、呼吸が中心的な役割を果たし、深くリズミカルな呼吸を通じて気の循環を促進します。
また、特定の体の動きやポーズを取ることで、体内のエネルギーチャネル、すなわち「経絡」を開き、気の流れをスムーズにします。瞑想も内気功の重要な要素であり、心を落ち着かせ、内面の平和を達成することで、気の流れをより効果的に制御できるようになります。この練習により、ストレスや不安が軽減され、精神的な明晰さが高まります。
内気功の実践は、慢性的な痛みや疲労の軽減、免疫系の強化、消化機能の改善など、多くの身体的な利点をもたらします。また、心理的なウェルビーイングを促進し、感情のバランスを取り、全体的な生活の質を向上させることができます。
内気功は、身体的、精神的な健康を維持し、向上させるための効果的な方法です。この訓練は、継続的に行うことで、体内のエネルギーバランスが整い、生活の質が改善されるとされています。
対外と積極的な気の交換を行う「外気功」

外気功は、気功の練習法の中でも特に積極的な気の交換と対外的な応用に焦点を当てた形式です。この訓練では、自己の内部のエネルギー(気)を外に放出し、他者や外界とのエネルギー交換を行います。外気功は、伝統的な中国医学の原理に基づき、治療者が患者にエネルギーを送ることで、健康を促進することを目的としています。
外気功の実践者は、まず自身の気の流れを強化し、調整することから始めます。これには、内気功で用いられる呼吸法や瞑想、体の動きなどが含まれます。その後、これらの技法を用いて自らのエネルギーを高め、他者へと意図的に気を送ります。この過程では、治療者の手や意識を通じて、エネルギーが患者の体内に送られ、その健康を促進します。
外気功は、特に痛みの緩和、ストレスや不安の軽減、疲労回復など、様々な健康上の問題に対して利用されます。治療者は、患者の体内で滞っているエネルギーの流れを開放し、体の自然な治癒力を促進することを目指します。この手法は、気功治療の中で非常に重要な役割を果たし、治療者と患者の間でエネルギーが共鳴し合うことで、治療の効果が高まるとされています。
外気功は、単に身体的な問題に対処するだけでなく、患者の精神的および感情的なバランスを取るのにも役立ちます。外気功の実践は、相互のエネルギーの流れに基づくため、治療者には高度な気功の技術と深い理解が求められます。この手法を通じて、治療者と患者は共に心身の調和と健康を目指します。
気功療法では、どんな気功が使われている?

気功療法は、さまざまな種類の気功技術を統合し、健康とウェルビーイングの向上を目指す治療法です。
気功療法では先ほど説明した内気功と外気功の二つの技術が用いられます。身体的な症状だけでなく、精神的、感情的なバランスの調整にも重点を置くことで、患者の体内のエネルギーバランスを改善し、全体的な健康を促進することを目的としています。
治療者は、気功の原則に従って、患者の体内のエネルギーバランスを改善し、全体的な健康を促進します。気功療法は、東洋医学の深い知識と高い技術を必要とするため、専門的なトレーニングと実践経験が必要です。この訓練により、患者は心身の健康を取り戻し、生活の質を高めることができます。
一義流気功で行われる、独自の気功治療

これまで一般的な気功、気功治療をご紹介してきましたが、一義流気功で行われている気功治療は、そのどれにも当て嵌まりません。その独自性をお伝えします。
気を生み出し、現象を起こす
ほとんど全ての気功治療は、①気を入れる。②気の流れを良くする(整える)。③悪い気を取り除く。の3種類の方向性から成ります。ある程度以上の才能のある者が、訓練によって気の操作を覚え、これらを可能としています。勿論、これらの方向性には効果があり、発展してきて今があります。
けれども一義流気功では、スタートラインからして違います。気をエネルギーとして操作するのではなく、ゼロから生み出して、現象を起こします。施術者と治療を受ける人とが協調して、肉体、精神の機能を動かす。その先に、単純に入れる、流れを良くする、悪い気を抜く、という発想では到達し得ない、多種多様な治療法が開発されています。
詳しくは、一義流気功で行う治療解説をご覧ください。この記事の中でも、2つほどご紹介します。
治療法の事例1,異常反応の解体
うつやパニック障害などに苦しみ、長期間その状態から抜け出せずにいる方は、しばしば“異常反応”のレベルが高い傾向にあります。
異常反応とは、本来危険でないものに対して過剰な恐怖心が生じる、非合理的な心の働きです。この反応は、胎内から2歳頃までの早期発達段階で形成されると言われています。異常反応の領域が広いほど、精神的な安定性は損なわれやすくなります。
一方で、合理的な思考力(理性)が多く占めていればいるほど、メンタルヘルスはより安定しやすくなります。
実際、異常反応の占める割合が20%を超えると、日常生活に支障が出やすくなり、35%を超えるとセルフケアや通常のストレス対策だけでは改善が難しくなります。この段階になると、単に考え方や気持ちを切り替える工夫だけでは限界があり、抜本的に“異常反応そのものへのアプローチが不可欠となります。
この状況は専門家による一般的なカウンセリングや心理療法でも変わらず、異常反応の根本的な解体が必要とされます。
異常反応は、内面の苦痛やストレス、いわゆる「心の毒」と深く結びついています。成長過程で培われたこうした反応は、心の毒に絶えず栄養を供給し続けます。そのため、心の傷(トラウマ)は根強く残りやすく、本来備わっている心の自己修復能力よりも異常反応による悪循環が優勢になる場合、トラウマは年を追うごとにさらに肥大化することさえあります。
このようなとき、最終的な課題となるのは、異常反応の根源的な“解消・分解”を図ることです。異常反応が薄れることで、トラウマや心の負担は徐々に弱まり、心の本来の自然治癒力が働きやすくなり、持続的な回復が見込めるようになります。
この異常反応を、治療によって完全に解体します。
治療法の事例2,先天的な左半身/右半身の生命力低下
人体における左右のバランスの差は、多くの人が知らず知らずのうちに抱えている問題です。とくに左半身の生命力や機能が弱くなっている場合が多く、これは身体の正中線を境にした弱さが筋肉や内臓にまで影響を及ぼします。実際には約70%の人がこの左右差を持っていますが、生まれつきの特徴であるため、自分にとって異常と認識することは稀です。たとえば左手や左足の動きが鈍くても、利き手や利き足ではないから仕方ないと受け流したり、胃が弱いのも遺伝や食生活によるものと考え、まさかこの問題があるとは思いも依りません。
健康面での影響が目に見えて現れ始めるのは、左右の機能差がおおむね全体の3割程度に達したあたりからです。特にアスリートのように身体能力が最大限に求められる場合は、たとえ10対9といったわずかな差でもパフォーマンスに支障をきたします。弱い側の筋力や感覚が落ちることは明らかに足かせとなり、動きの精度や持続力が低下することも少なくありません。また左右の差は美容面にも影響しており、弱い方の顔は張りが失われ、目や頬の位置が下がりがちで、老けて見える原因になることもあります。
左右のどちらかに病気やけが、体調不良が集まりやすい人は、先天的な左右の生命力の差が根底にある可能性が考えられます。これを改善できれば、筋力や感覚の向上をその場で実感できることが多いです。体は弱かった側を補おうと自然に動き出し、筋肉のつき方や内臓の働きも時間をかけて良い方向へ変わっていきます。先天的な左右差の問題に気づき、適切に対処することは、健康や美容、身体機能の維持向上にとって非常に重要なポイントと言えるでしょう。
この問題を解決し、左右で10:10にします。一度の治療で、生涯、改善された状態が継続されます。
結論、まとめ
気功は古代中国に端を発し、体内の気の流れを整える伝統的な健康法として発展しました。呼吸法や瞑想、身体の動きを通じて気の循環を促し、心身の調和と健康維持に寄与しています。
その中で一義流気功は独自の位置を占め、単に気の流れを調整するのではなく、気をゼロから生み出し精神や肉体の機能を能動的に動かす高度な技法です。一義流気功は、うつやパニック障害の原因となる異常反応の解体や、生まれつきの左右半身の生命力差の改善に効果を示し、根本的な心身の回復を目指します。これにより自然治癒力が促進され、多様な健康問題に対応可能になっています。
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