気功整体、皆さんも聞いた言葉だと思います。とは言え、気功と整体を合わせるって、どんな感じ?それで治療効果は上がるの?と、曖昧な部分もあるでしょう。この記事では、気功整体というジャンルについて、現状を解説していきます。
気功整体とは何か?

気功は、エネルギー療法
気功は中国を起源とする伝統健康法で、呼吸、意識、動作を組み合わせて体内の「気」の流れを調整し、自然治癒力や健康を高める手法です。古代中国の医学思想では、人間の体には「気」が流れており、この流れが滞ると心身に不調が起こると考えられてきました。気功には座ったり立ったりしながら行う静的なものや、歩行や手足を大きく使う動的なスタイルもあります。呼吸を深め、精神統一を図ることで、身体の緊張をほぐし、エネルギーの巡りを促進します。
気功の実践には、自分で行う「自修気功」と施術者が手をかざす「外気功」に大きく分かれます。前者は日々の健康維持や自己管理に向き、後者は不調緩和や治療を目的とした補助的アプローチとして活用されます。現代の気功は健康維持やリラクゼーション、ストレス軽減の分野で幅広く親しまれるようになり、多くの研究でその効果が注目されています。
整体は、筋骨格へのアプローチ
整体は日本で発展した手技療法で、筋肉や骨格、関節のバランスを調整し体のゆがみやコリを改善していきます。その中には、関節を「ボキボキ」と鳴らす施術も含まれます。この音は関節内の気泡がはじけることで生じ、骨が無理に動かされているわけではありません。こうした手技は瞬間的に関節の動きを整え、痛みの軽減や可動域の拡大を目的に行われます。ただし、力任せに行うと神経や組織に負担がかかるため、熟練した施術者による慎重な操作が必要です。
※所謂、ボキボキ整体ですが、個人的にはいくら評判が良かろうと、上手かろうと、決してお勧めしません。事故のリスクは常にあり、他に安全な選択肢がある以上、これをあえて行う必要はありません。
一方で、ボキボキ鳴らさずに筋肉の緊張をやわらげる優しい手技を使う整体もあります。こちらは痛みが苦手な方や体力に不安のある方に適しています。整体の基本は、体に無理のない範囲で、ゆがみやコリの原因を探りながら調整し、健康で自然な体の動きを取り戻すことです。
こうして整体は、症状や体質、好みに合わせて「ボキボキ整体」と「ソフト整体」が選ばれています。その目的は常に自己回復力を高め、不調の改善を促すことにあります。しっかりとした技術を持つ専門家のサポートを受けることが、安全かつ効果的な整体利用には欠かせません。
気功と整体の組み合わせ
気功整体は、気功の「気」の流れを調える意識的なアプローチと、整体の手技による身体バランスの調整、両方を組み合わせた施術です。施術者はまず身体全体の状態を観察し、気の滞りやコリ、歪みの原因を見極めます。その上で呼吸法や静かな動き、意識誘導を基盤とした気功の技術と、必要な箇所への整体手技を状況に合わせて組み合わせます。
たとえば、最初に気功的アプローチで心身をリラックスさせ、気の流れを促進します。心身がリラックスしたことで筋肉もほぐれやすくなり、そのまま整体によって筋肉や骨格の調整に進みます。この流れにより、身体だけでなく心も落ち着くため、慢性的な症状やストレス起因の不調にも幅広く対応しやすくなります。
気功と整体は一見別の分野のように見えますが、どちらも「本来備わった回復力を高める」という共通の目的があります。気功の静かな集中と、整体の物理的な刺激が相乗効果を生み出しやすく、施術の幅が広がります。
気功整体の効果と整体だけ・気功だけとの違い
気功整体は、体内のエネルギーバランスと構造的なアンバランスの両方にアプローチできます。ストレスの多い毎日や、デスクワーク中心の生活が増えた現代では、肩こり・腰痛・頭痛などの慢性不調や、自律神経の乱れ、メンタル面の負荷が増しています。気功整体では、心身のリラックスを深めながら、筋肉や骨格の調整によって本質的な不調の改善を目指します。
気功のみの場合、エネルギーや内面へのアプローチに特化しますが、身体構造の調整は行いません。整体のみの場合、肉体面の歪みやコリの調整が中心となり、精神的な緊張やエネルギーバランスには必ずしも直接働きかけられません。一方、気功整体はどちらの領域にも届きやすく、なかなか解消しない慢性症状や理由の分かりにくい体調不良、ストレス起因の問題にも幅広く対応します。
慢性的なコリや疲れが強いケースでは、まず全身をリラックスさせ、深部の筋肉がゆるんだ段階で整体に入ることで、通常の手技療法よりも効果が感じやすい場面もあります。精神的に不安定なときも気功的アプローチで安心感や落ち着きを確保しつつ体のケアを進められるのが強みです。
なぜ効果が期待できるのか?
気功整体は、現代医学とは異なる理論を使っていますが、メンタルとボディの両面へ働きかけている点が最大のポイントといえます。現代医療では、身体と心を分けて診るケースが多いものの、実際の症状や不調は相互に関係しています。例えば慢性的な肩こりは、肉体的な疲労だけでなく、精神的なプレッシャーや緊張、不安などが背景として見落とされがちです。
気功整体の施術中は、呼吸や意識の集中によって副交感神経が活性化され、全身の緊張が徐々に解放されます。その後、整体による筋肉や骨格の調整によって、本来のバランスや自然治癒力が引き出されやすくなります。最終的に体調や気分の良さにつながる可能性があります。内臓に由来する不調や理由の見えにくい不調にも、全体を統合的にケアできる点が大きな魅力です。
気功整体もどきには気を付けよう!

気功整体は、ジャンルというよりも看板
気功整体は、おそらく一般的には療法のジャンルと捉えられています。ただ現状として、気功や整体のように体系化された形はなく、何となく気功と整体を合わせたものをそう呼称しているのが現状です。実際、「気功整体に行ったけれど、ただの普通のマッサージだった」といった声も聞きます。気功整体として独自に確立されたスタイルを持っている方もいるとは思いますが、ジャンルというよりも、とりあえずは看板として見た方が良いでしょう。
ある日、勤め先が気功整体になっていた
整体、マッサージでアルバイトをしていた人の証言です。ある日、普通に出勤したら、お店が気功整体になっていました。院長に「気功なんて、出来ません」と訴えると、「客には、気功マッサージだと言っておけば良い」と言われたとのこと。これは極端な事例ですが、どちらか、あるいはどちらも中途半端な状態で、ブランディングや差別化として気功整体を標榜している所もあります。
気功と整体、どちらがメインかを見極める
気功整体というジャンルが確立されていない以上、施術者には何れかのベースがあると考えられます。気功の人が整体を取り入れたのか、整体の人が気功を取り入れたのかで、スタイルも大きく変わってきます。肩こりや腰痛など、筋骨格系の症状であれば整体メインの気功整体。元気がないからエネルギーをチャージして欲しいといったことであれば、気功をメインにした気功整体を選択すると、ニーズにマッチする確率が高くなります。
その辺りは、ホームページに技術的な説明が十分にあれば、判断もできるかと思います。
一義流気功は、気功整体なの?

出来ても、整体は基本的にはやりません
僕、小池義孝は、実は整体も少しだけ出来ます。けれども現場では、ほとんど使っていません。何故なら、それを治療メニューに入れてしまえば、一義流気功の看板からは外れるからです。美味しいカレーは作れるけど、寿司屋だから提供はしないみたいな感じです。
ただ最優先は、患者さんです。他に代替手段はなく、整体の技術が必要であるなら行います。その辺りは、潜在意識から情報を引き出した上での判断です。
頭蓋底は、少し例外
頭蓋底とは、頭蓋骨の後ろの底の部分です。頭と首との境界で、首の付け根よりもほんの少し上の部分です。ここが人体の構造上、共通の弱点になっています。詰まりやすく、神経の束を圧迫して被害は甚大です。そして頭を動かしても付いてきてしまうので、ストレッチもほとんどかかりません。頭蓋底の解放は、もっとも多く行う治療の一つです。
ここに関しては、気功でゆるめた後に、ほんの短い1~2分だけ物理的に引いてストレッチをかけます。唯一、普段の治療では整体っぽい場面です。
筋肉の硬直、骨格の歪みは触っているだけ
一義流気功では、上記の頭蓋底に行う以外、押したり揉んだり引っ張りといった物理的な力は加えません。筋肉の硬直は、標的になる部位に軽く触れるだけです。そして肉体に備わっている“ゆるめる機能”を動かしています。触っているのは、場所の意識をしやすくするためと、熱やゆるみ方などの情報を得るためです。
骨格の歪みについても、骨を押したり引っ張ったり、関節をボキボキと鳴らしたりはしません。骨格は筋肉が引っ張る形で歪むので、上記のように筋肉に働きかけてゆるめば、引っ張りがなくなり、骨格の位置は自然と元に戻ります。
結論としては、「整体要素はゼロではないけれど、気功整体というジャンルにするにはほど遠い」といった辺りでしょうか。
まとめ、結論
気功整体は、中国伝統の気功に基づくエネルギー調整と、日本発祥の整体による筋骨格の手技調整を組み合わせた施術法です。気功で心身のリラックスと「気」の巡りを促し、整体で体のゆがみやコリをやさしく調整することで、慢性の不調やストレス緩和が期待できます。
ただし、気功整体はまだ明確な体系として確立されておらず、施術者によって技術や重視点は異なります。そのため、内容の確認や信頼できる施術者選びが重要です。特に「気功整体」と看板を掲げていても、単なるマッサージの場合もあるため注意が必要です。施術者のベースが気功か整体かで施術内容は大きく異なり、目的に合った選択が求められます。
なお、一義流気功は整体をほとんど用いず、主に気功的アプローチに基づく独自の施術法であり、この点でも通常の気功整体とは異なります。
小池義孝の本
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