五月病とうつ病の違いとは?病院に行くべき?

心身の健康

五月病とは、春の環境変化によって多くの人が経験する一時的な疲れや心理的症状です。一方、うつ病は過度な精神的ストレスや疲労によって引き起こされる、長期にわたる気分障害です。

この記事では、五月病とうつ病の違いについて解説し、それぞれの症状と対処法を現代医療、および気功治療の専門家の視点から掘り下げます。

五月病とは?

五月病とは、新しい生活サイクルが始まる春に特に見られる心理的な不調を指します。

この時期、新年度の開始と同時に新たな学校や職場への適応が求められるため、それに伴う心身のストレスが原因で発生します。

社会文化と自然界のサイクル、双方の季節性が合わさる

五月病は、主に4月の終わりから5月にかけて見られる心身の不調で、新しい学年や会計年度の始まりに伴う環境適応のストレスによって引き起こされます。この季節性は、新生活のプレッシャーだけでなく、自然界の春から初夏への変化が人の心身に影響を与えるため、相乗効果で症状が現れやすくなります。

春は草木が芽吹き、暖かくなり始める一方で、気温や気圧の変動が激しく、自律神経のバランスが乱れやすい季節です。急激な気候の変化に体が適応しようとするため、疲労が蓄積しやすく、これが心身の不調を引き起こします。古代中国の五行説では、春は「木」の季節であり、精神的ストレスを受け止める「肝」の働きに影響を及ぼすとされ、肝の機能低下は気分の落ち込みやモチベーションの低下を招きます。

さらにそこに、社会文化上での環境変化が加わります。4月の入学や就職、異動などによる新しい環境への適応ストレスが重なり、知らず知らずのうちに心身に負担がかかります。ゴールデンウィークの長期休暇で緊張状態から急にリラックスモードに切り替わることも、五月病の発症を助長します。このように、自然界の季節変化と生活環境の変化が複合的に作用し、五月病の症状が特にこの時期に現れやすくなるのです。

心理的・身体的症状

五月病に見られる心理的症状には、特に目立つものとして無気力や気分の落ち込みがあります。これらは新たな環境や役割への適応中によく見られる反応で、個人の意欲に直接影響を与えることがあります。さらに、不安感や悲観的な思考が生活の質を下げることもあります。

身体的な側面では、五月病は頭痛や疲労感、そして睡眠パターンの乱れを引き起こすことが多く、これが食欲不振にもつながります。

一時性と環境適応

五月病は通常、その影響が一時的であると考えられています。特に新しい生活のスタートに伴う心身の疲労は、通常、数週間後には自然と緩和されています。この期間中には、個人が新しい環境や期待に適応するためのプロセスが進行中であるため、五月病の症状は適応過程の一部と見なされます。

ただし、新環境に上手く適応できない場合、その症状は五月病に留まりません。五月病を切っ掛けにして、より深刻な事態に悪化していくケースも起こり得ます。

「五月病」と「うつ病」は別の物か

五月病とうつ病は、症状が似ていることから混同されがちです。けれども実際には、明確な違いがあります。五月病は一時的で自然回復するのに対し、うつ病は長期に渡ります。両者の違いを詳しく解説します。

五月病とうつ病、定義とその違い

五月病は、新しい環境への適応ストレスによって春から初夏にかけて一時的に現れる心身の不調を指し、症状は気分の落ち込みや疲労感、食欲低下など多岐にわたります。多くは原因が明確で、環境に慣れると自然に回復することが一般的です。ただ五月病という医療の診断名はなく、適応障害と位置付けられます。

一方、うつ病は脳機能の障害が関与する精神疾患で、気分の抑うつや興味の喪失、睡眠障害などが2週間以上続き、日常生活に支障をきたします。五月病は一過性であるのに対し、うつ病は長期化しやすく、治療が必要となる点が大きな違いです。

けれども、メンタルの症状にはウイルス感染などの明確な病理がありません。医師がマニュアルに基づいて、主観で判断をします。症状が重くある程度以上の長期に及ぶ場合、うつ病と見做されるケースもあります。当初は五月病だったものが、長期化してうつ病に移行するというグラデーションです。

一時的な疲労と慢性疲労の違いでイメージ

五月病とうつ病との違いは、一時的な疲労と慢性疲労の違いでイメージできます。短期的に集中して忙しくハードになり、疲れてしまった。これなら一日か二日、休めばかなり回復しますよね。これが五月病のイメージです。一方、長期間のハードな生活やストレス、睡眠障害、栄養失調や偏りなどでいつも疲れている。休んでも疲労感が抜けない。これがうつ病のイメージです。

東洋医学から見た、五月病とうつ病の違い

東洋医学から見ても、五月病とうつ病は発症の背景や病態に違いがあります。まず五月病は、春から初夏にかけて新しい環境や人間関係への適応ストレスが主な原因となり、五行学説では「木(肝)」から「火(心)」への移行期にあたるため、肝や心の働きが乱れやすい時期とされます。肝は気の巡りや情緒の調整を担い、心は精神活動を司ります。適応ストレスが肝の機能を阻害し、気滞や気虚といった状態が現れ、やる気の低下や不安、倦怠感などの症状が一時的に生じます。

一方、うつ病は季節や環境変化に限らず発症し、原因がはっきりしないことも多く、長期間にわたり気分の落ち込みや興味喪失、睡眠障害、食欲不振などが続きます。東洋医学では、うつ病は肝だけでなく心、脾、腎など複数の臓腑のバランス失調が複雑に絡み合い、気・血・津液(体液)の巡りが大きく阻害されることで、慢性的かつ重篤な症状が現れると考えられます。

また、五月病は一過性で、ストレス源から離れると自然に回復することが多いのに対し、うつ病はストレス要因が解消されても症状が持続しやすいのが特徴です。したがって、東洋医学的には五月病は肝の一時的な失調による軽度の気滞・気虚が中心であり、うつ病は多臓腑の深いバランス崩壊による慢性的な病態と捉えられます。

五月病の治し方、現代医療と東洋医学

現代医療での対応

五月病に該当する適応障害で診療内科や精神科を受診した場合、主に以下のような治療が行われます。

まず最も重要なのは、原因となるストレス要因の特定と軽減です。医師は患者の話をじっくり聞き、どのような状況や出来事がストレスとなっているかを把握します。その上で、ストレス源から一時的に離れることや、休養を勧める場合があります。例えば、学校や仕事を一時的に休む、職場の配置転換など環境調整が提案されます。必要に応じて、主治医が上司や産業医と連携し、異動や勤務内容の調整を行う場合もあります。

また、症状が強い場合には、対症療法として薬物療法が行われます。具体的には、不眠や強い不安症状がある場合に、睡眠薬や抗不安薬などが処方されます。ただし、薬物療法はあくまで補助的な位置づけであり、根本的な治療はストレス要因への対応や環境調整が中心です。

さらに、患者や家族とよく話し合い、今後の生活や治療方針について一緒に検討することも重視されます。必要に応じて診断書を作成し、傷病手当金などの社会的支援制度の利用を勧める場合もあります。

このように、適応障害の治療はストレス要因の除去と環境調整、必要に応じた薬物療法、そして患者の社会的支援を組み合わせて行われます。

東洋医学での対応

東洋医学では五月病への対応は、心身のバランスを整え、個々の体質や症状に合わせた多角的なアプローチが取られます。主な方法は以下の通りです。

まず、五月病は「気滞(きたい)」タイプ(ストレスやイライラで気の巡りが悪くなる)と「気虚(ききょ)」タイプ(エネルギー不足で疲れやすい)に分類され、それぞれに応じたケアが行われます。気滞タイプには、気の巡りを良くする漢方薬(加味逍遙散や抑肝散など)が用いられ、イライラや不眠、頭のほてりなどの症状緩和を目指します。気虚タイプには、補中益気湯などエネルギーを補う処方が選ばれます。

また、脾や心のエネルギーを補うことも重視され、足三里や神門といったツボへのマッサージや鍼灸治療が推奨されます。これにより自律神経の調整や気血の巡りの改善が期待できます。さらに、食事や生活習慣の見直しも重要で、規則正しい生活や胃腸に優しい食事が勧められます。

このように東洋医学では、漢方薬、鍼灸、ツボ療法、生活養生を組み合わせ、個々の体質や症状に応じたオーダーメイドの対応が行われます。

うつ病と診断された時

うつ病に対して、現代医療と東洋医学では治療のアプローチが大きく異なります。

現代医療では、うつ病は脳内の神経伝達物質のバランス異常など生物学的要因を重視し、「休養」「環境調整」「薬物治療」「精神療法」の四本柱で治療が行われます。まず十分な休養とストレス環境の調整を行い、必要に応じてSSRIやSNRIなどの抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などを処方します。さらに、認知行動療法や対人関係療法などの精神療法を組み合わせ、思考や行動パターンの修正、対人関係の改善を目指します。重症例には経頭蓋磁気刺激(TMS)や電気けいれん療法(ECT)など脳への直接的介入も用いられます。

一方、東洋医学では、うつ病は「気・血・津液」の巡りや五臓六腑(特に肝・心・脾など)のバランス失調として捉えます。治療は個々の体質や症状に合わせて、気の巡りを良くする漢方薬(加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯など)や、エネルギーを補う補中益気湯などを用います。また、鍼灸やツボ刺激(神門、百会など)で自律神経や気血の流れを整え、心身の調和を図ります。食事や生活習慣の指導も重視され、全体的な体質改善を目指します。

このように、現代医療は科学的根拠に基づいた薬物・心理療法を中心とし、東洋医学は心身一如の視点から全体バランスを整えるアプローチを取ります。

五月病に、一義流気功ではどう対応するの?

それでは一義流気功では、五月病にどう対峙しているのでしょうか。その位置づけと対応について、ご説明します。

五月病とうつ病との、明確な違い

一義流気功では、うつ病を脳の故障という意味での病気とは捉えていません。過度な精神的苦痛から身を守るための防衛手段であると、その本質を認識しています。例えるなら、自分の心に打つ麻酔のようなものです。一方、五月病はあくまでも一時的な適応障害であり、心の防衛という意味はない、あったとしてもごく少量の割合です。

肉体と精神、どちらをケアするか?

五月病であった場合、季節の変化から来る肉体への負担が主なのか、新しい環境への精神的負担が主なのかで、対応が変わります。肉体であれば、神経系の調整、血流の改善、呼吸の拡大などが行われます。精神であれば、心の毒(精神的苦痛)の除去、状況の整理などで対応します。

何れにしても、時期を過ぎれば改善するものですが、それをより軽くより素早く軌道に乗せる形です。

潜在意識から情報を引き出す

肉体と精神に起こっていることは、潜在意識が極めて詳細に把握しています。五月病であってもうつ病であっても、その原因と背景を明らかにし、適切な改善策を選択します。実はここでは、五月病かうつ病かという分類は重要ではありません。精神的苦痛をどこ程、溜め込んでいるのか? 肉体のダメージはどの程度か? などのより大元を正確に判断する方が本質です。

まとめ、結論

五月病は新生活のストレスや季節変化による一時的な心身の不調で、多くは自然に回復しますが、長期化すると慢性のうつ病に移行することもあります。現代医療ではストレス要因の除去や環境調整、必要に応じた薬物療法が中心です。

一義流気功では、五月病を一時的な適応障害と捉え、肉体と精神の両面からアプローチします。肉体面では神経系や血流の調整、精神面では心の苦痛の緩和や状況整理を行い、潜在意識から原因を探り個別に対応します。時期を過ぎれば自然に改善することが多いですが、より早い回復を目指して全体バランスを整えるのが特徴です。

小池義孝の本

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