体調が悪いのに検査では異常が見つからない。そんな「不定愁訴」に悩む人が増えています。女性に多いとされるこの症状ですが、近年は男性の不定愁訴も増えています。本記事では、不定愁訴の原因と症状、セルフケアの方法について詳しく解説します。
不定愁訴とは何か?~定義と特徴

不定愁訴の定義
不定愁訴とは、医学的な検査を受けても明確な異常や疾患が見つからないにもかかわらず、持続的に身体や心にさまざまな不調を訴える状態を指します。
主な症状と特徴
症状は多岐にわたり、頭痛や筋肉痛、腰痛、不眠、めまい、疲労感、腹痛、悪心、食欲不振など、体のあちこちに現れます。検査で異常が見つかりにくく、つかみどころのない状態として周囲にも理解されにくい特徴があります。
症状の現れ方
自覚症状は人によって異なり、一つの症状が長期間続く場合もあれば、複数の不調が不定期に現れる場合もあります。全身のだるさ、頭痛、冷え、便秘、めまい、むくみといった身体的なものから、イライラ、気分の落ち込み、不眠といった精神的なものまで幅広く見られます。
なりやすい人の背景
年齢や性別を問わず誰もが経験しうるものですが、特に女性はホルモンバランスの影響を受けやすく、月経周期や更年期などライフステージに応じて症状が現れやすい傾向があります。男性においても、ストレスや生活習慣の乱れを背景に、持続的な疲労感や睡眠障害、消化器症状、集中力低下、情緒不安定などがみられることがあります。
周囲の理解と誤解
症状が検査で説明できないため、本人も周囲も「気のせい」や「仮病」と誤解されやすい傾向があります。そのため、相談や休養をためらい、無理を重ねてしまうケースも少なくありません。
今、なぜ不定愁訴は注目されているのか?

不定愁訴は年齢や性別を問わず誰にでも起こりうる身近な問題として、社会全体で関心が高まっています。また、メディアや医療現場でも不定愁訴をテーマにした特集や解説記事が多く見られ、専門家による診療や研究も活発に行われています。不定愁訴が注目を集めている。その社会的背景について、お伝えします。
ストレスと不定愁訴
現代社会は、長時間労働や職場での人間関係、家庭内の役割、経済的不安など、さまざまな要因が重なり、心身に大きな負担をかける環境となっています。こうした背景から、自律神経のバランスが乱れやすく、不定愁訴を訴える人が増加しています。
デジタル化の影響
スマートフォンやパソコンの長時間利用は、ブルーライトによる睡眠障害や、画面に集中し続けることで生じる目の疲れ、肩こりなどを引き起こします。また、SNSやインターネットを通じた情報過多が、無意識のうちに心にストレスを蓄積させる要因にもなっています。
労働環境の変化
リモートワークやフレックス制の導入が進む一方で、仕事とプライベートの境界が曖昧になり、心身のリラックスや休息が十分に得られない人が増えています。長時間座り続けることによる運動不足や、不規則な食生活、睡眠不足も、自律神経やホルモンバランスの乱れを助長します。
誰でも起こり得る身近な問題として認知される
こうした環境下で、不定愁訴は年齢や性別、職業を問わず、誰にでも起こりうる身近な問題として注目されています。実際、成人の20~30%が不定愁訴を経験しているという報告もあります。症状の現れ方や程度には個人差がありますが、共通して「なんとなく体調が悪い」「原因がよくわからない不調」という訴えが多いです。
不定愁訴は、社会問題に
現代社会では、ストレスや生活習慣の乱れ、デジタル化、労働環境の変化など、心身に影響を及ぼす要因が複雑に絡み合っています。その結果、不定愁訴は単なる体調不良の枠を超え、社会全体で積極的に取り組むべき課題として認識されつつあります。症状を抱える人々が、安心して相談し、適切なケアを受けられる環境づくりが、今後ますます求められていくでしょう。
不定愁訴のメカニズムと主な原因

不定愁訴が起こる仕組み
自律神経の役割とバランスの乱れ
自律神経は私たちの体のさまざまな機能を自動的にコントロールしている神経で、心臓や血管、内臓、体温調節など生命維持に欠かせない働きを担っています。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」に分かれ、交感神経は体を活発にし、副交感神経は体を休息させる役割を持っています。この2つの神経がバランスよく働くことで、私たちは健康的な生活を送ることができます。
ストレスと自律神経の関係
ストレスや生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化などが重なると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。特に、現代社会では仕事や人間関係、家庭内の役割などによるストレスが多く、交感神経が優位になりがちです。交感神経が過度に働くと、筋肉が緊張し、血流が悪くなったり、内臓の働きが低下したりします。その結果、頭痛やめまい、疲労感、不眠、イライラといった不定愁訴の症状が現れやすくなります。
ホルモンバランスの影響
ホルモンバランスの乱れも、不定愁訴を引き起こす大きな要因です。特に女性は月経周期や更年期などでホルモンの分泌が大きく変化します。この変化が脳の自律神経中枢に影響を与え、さまざまな不調を引き起こします。また、男性でも加齢によるホルモンの減少やストレスによる自律神経の乱れが不定愁訴の原因となることがあります。
ストレスホルモンと心身への影響
ストレスは自律神経やホルモンバランスに直接的な影響を与えます。ストレスが続くと、脳の視床下部という部位が刺激され、副腎からストレスホルモンが分泌されます。このホルモンが過剰になると、自律神経のバランスが崩れ、心身にさまざまな不調が現れます。ストレスによる自律神経の乱れは、検査では異常が見つかりにくいため、不定愁訴として扱われることが多いのです。
メカニズムのまとめ
このように、不定愁訴は自律神経やホルモンのバランス、ストレスなどが複雑に絡み合って引き起こされるため、原因が特定しにくい特徴があります。また、症状の現れ方や程度には個人差があり、同じ環境や生活習慣でも症状が出る人と出ない人がいます。不定愁訴のメカニズムを理解することは、症状の改善や予防につながる第一歩となります。
主な原因とその分類
ストレスは最大の要因
不定愁訴を引き起こす主な原因の一つはストレスです。ストレスには、仕事や人間関係、家庭内の問題など精神的ストレスと、過労や睡眠不足、怪我、騒音、光などの身体的ストレスがあります。ストレスが長期間続くと、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になりやすくなります。その結果、心身にさまざまな不調が現れ、不定愁訴の症状が悪化しやすくなります。
生活習慣の乱れも影響大
生活習慣の乱れも不定愁訴の原因となります。慢性的な睡眠不足や昼夜逆転、不規則な食事、運動不足などは、体のリズムを乱し、自律神経やホルモンのバランスに悪影響を与えます。特に、スマートフォンやパソコンの長時間使用によるブルーライトの影響や、就寝前のデジタルデバイスの利用は、睡眠の質を低下させ、自律神経の乱れを助長します。
環境要因も見逃せない
環境要因も見逃せません。職場や家庭の人間関係、騒音、温度や湿度の変化、天候など、周囲の環境が心身に与える影響は大きいです。環境の変化に対応するために体がストレスを感じると,自律神経が乱れ,不定愁訴が現れやすくなります。また、引っ越しや転勤、ライフスタイルの変化なども、心身に大きな負担をかけることがあります。
体質や遺伝的要素
体質や遺伝的要素も、不定愁訴の現れ方に影響します。同じ環境や生活習慣でも、症状が出やすい人と出にくい人がいます。これは、自律神経やホルモンのバランスを調整する能力に個人差があるためです。また、女性はホルモンバランスの変化が大きいため、男性よりも不定愁訴を訴える人が多い傾向があります。
原因は複合的にある
このように、不定愁訴の原因は一つではなく、ストレス、生活習慣、環境要因、体質などが複雑に絡み合っています。それぞれの要因がどのように関わっているかを理解し、自分に合った対策を取ることが、不定愁訴の改善や予防につながります。また、症状が長引く場合や日常生活に支障が出る場合は、専門家に相談することも大切です。
専門家が提案するセルフケアの実践法

まず他人に相談、頼る
不定愁訴を抱えたとき、一人で悩みを抱え込まず、周囲のサポートを上手に活用することが大切です。まず、家族や友人に相談する場合、相手が自分を理解しやすい存在であれば、安心して話せるだけで心が軽くなる時もあります。話すことで気持ちが整理されますし、客観的なアドバイスも期待できます。
また、身近な人に話しにくい場合は、匿名の電話相談やLINE相談など、第三者に気軽に相談できるサービスを利用する方法もあります。
とにかく一人で抱え込まず、自分に起こっている問題をシェアして精神的負担を減らし、サポートを得られる環境を整えましょう。
生活習慣の改善ポイント
日々の生活習慣の見直しは、セルフケアの基本軸です。食生活、運動、入浴習慣、睡眠を整えてください。
食生活では、栄養バランスと楽しみのバランスが重要です。一日に三食が健康に良いとされていますが、これは絶対ではありませんし、人にも依ります。消化器が弱い人は朝食を食べず、ブランチや昼食からのスタートで大丈夫です。タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く取りながら、食事自体も楽しむようにしてください。
まず、睡眠の質を高めるために、毎日同じ時間に就寝・起床するリズムを意識しましょう。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は控え、寝室を暗く静かに保つことも重要です。また、昼間に適度に体を動かすことで、夜の眠りが深くなりやすくなります。
食事は、バランスの良い栄養を心がけ、特に朝食をしっかり取ることで体のリズムが整います。糖質や脂質に偏らず、野菜や良質なタンパク質、発酵食品などを積極的に取り入れましょう。水分補給も忘れずに行い、過度なカフェインやアルコールの摂取は控えるのが望ましいです。
運動も大切な要素です。毎日無理なく続けられるウォーキングやストレッチ、ヨガなどを取り入れると、血流が良くなり、自律神経のバランスが整いやすくなります。運動はストレス解消にもつながるため、習慣化することで心身の不調を和らげることができます。忙しい日々でも、少しずつ生活習慣を整えることで、不定愁訴の改善につながります。
ストレスマネジメントと自律神経を整える工夫
ストレスは不定愁訴の大きな原因となるため、日頃のマネジメントが重要です。頑張らず、無理なく続けられることを日常に取り入れましょう。自律神経は、活動モードとメンテナンスモードのバランスです。交感神経を優位にさせて活発に動き、副交感神経を優位にさせてリラックス、休息と修復を行います。ストレスは交感神経を優位にして、自律神経の切り替えバランスを崩します。ストレスと自律神経は、同時に捉えて考える必要があります。
3種類のストレスマネジメント
環境を変える、捉え方・考え方を変える、ストレスを抜く、ストレスマネジメントの方向性は、大きく分けてこの3種類です。
同じ状況であっても、その人の捉え方・考え方次第で、ストレスの度合いは大きく変わります。また同じストレスを受けていても、リラックスする時間がある、他に楽しみがある、などで溜まり方が違ってきます。それではどうにもならない、あまりに酷い環境であれば、思い切って環境を変えるしかありません。
環境を変える
過酷な職場、好ましくない人間関係など、時には思い切って環境を変えましょう。逃げるのは正しいのか?責任を放棄するのは気が引ける……などの思いもあって当然ですが、何れにしても自身の健康の範囲でしか頑張れません。時には、逃げるも正解です。
捉え方・考え方を変える
ストレスを感じて追い詰められている時は、大抵、視野が狭くなっています。嫌なところ、悪いところだけに焦点が当たり、精神的苦痛を拡大させています。そんな時は、一旦、冷静になって視野を広げましょう。大きな目で見れば、嫌なところも悪いところも、沢山ある中の一部だと認識を改められます。こう気付けた時点で、ストレスは小さくなっています。
またこれも視野の話に近いのですが、減点方式で自分を不幸にしている人も多くいます。持っているものは当たり前なので加点されず、足りないもの、羨ましいもので減点。トータルで現状の自分を大きくマイナスに査定して、落ち込んだり不幸だと思っていたりします。一度、全てを持っていないものとして考え、ゼロベースで査定をやり直してみてください。健康状態は寝たきりで身動きが取れない、お金は多額の借金、能力は全て平均を大きく下回る、外見は極めて醜悪、嫌われ者で友達はゼロ、家族はなく孤独……、例えばここを基準にして、足していってください。ほとんどの人が、意外に自分はプラスを持っていると気付けるはずです。
楽しみ、リラックス時間を作る
ストレスは楽しいこと、力を抜いたリラックスで抜けます。日々の生活の中に、楽しみとリラックス時間を作りましょう。好きな趣味に時間を充てる、食事やお茶を楽しむ、など大小の楽しい時間、リラックスできる時間を生活の中に入れてください。
自律神経を整える
オンとオフの切り替え
自律神経を整えるには、オンとオフの切り替えが重要です。活動する時は、ダラダラとせず気合いを入れて精力的に実行する。休む時は、思いっきり休む。このメリハリです。今日という一日を建設的で前向きな納得できるものとし、遅くても眠る3時間前にはリラックスタイムに入る。その流れの中で、睡眠に入りましょう。
規則正しい生活
朝、起きて活動をして、ちゃんと夜に寝る。たまにお酒が入ったり外れる時はあるけれど、基本、健康に良い食生活を送る。適度に運動をして、入浴で体を清潔にして温める、こうした日々の規則正しい生活が、自律神経を整える上でも基本です。
リラクゼーション
場合によっては、深呼吸、瞑想、アロマテラピー、マッサージなど、副交感神経を優位にするリラクゼーションを取り入れるのも良いでしょう。仕事や人間関係などでストレスが多く、通常の良い生活習慣の範囲では追いつかない時に、リラクゼーションを加えてバランスを取ることを試してみましょう。
一義流気功では、不定愁訴にどう対応する?

潜在意識から情報を引き出す
自分自身の潜在意識は、肉体の詳細を知っています。何がどうなって不定愁訴が出ているのか、外部から見ても本人が考えても解りませんが、潜在意識は状況の全てを把握しています。ですからまず、症状がどういった種類のものか、何が原因なのか、を全て明らかにします。それに沿って、治療にしても日常生活での取り組みにしても、ピンポイントで正解が導き出されます。
原因に合わせたアプローチを行う
不定愁訴の原因はそれぞれですので、不定愁訴だからこれという決まりきった対応はありません。体が冷えて血流が悪くなっているのが原因なら、血流を阻害する硬直を緩める治療を行い、日常では、正しい入浴、体操やストレッチなどを習慣にします。過剰なストレスが原因であれば、心の毒(精神的苦痛)を抜く治療を行った上で、必要に応じて考え方や価値観の調整、環境の変化を助言します。
潜在意識から情報を引き出し、各々の原因に合わせたアプローチをピンポイントで行います。
まとめ、結論
不定愁訴は、検査では異常が見つからないにもかかわらず、頭痛やめまい、倦怠感、不眠、イライラなど多様な不調が持続する状態です。原因はストレスや生活習慣の乱れ、環境、体質などが複雑に絡み合っており、自律神経やホルモンバランスの乱れが大きな要因になります。
セルフケアとしては、規則正しい生活リズム、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスマネジメントが有効です。他人に相談したり、リラクゼーションや趣味の時間を持つことも重要です。
一義流気功では、潜在意識から情報を引き出し、不定愁訴の根本原因を特定。例えば、血流障害なら入浴や体操、ストレスなら心のケアや価値観の調整など、一人ひとりの原因に合わせたピンポイントのアプローチを行います。こうしたオーダーメイドの対応により、自律神経や心身のバランスを整え、不定愁訴の改善を目指します。
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