不定愁訴と自律神経失調症の関係とは?症状と原因、何科を受診するかを解説

病気や症状

頭痛やめまい、疲れやすさなど、体のあちこちに不調を感じるものの、検査では異常が見つからない。このような状態を不定愁訴と呼び、自律神経失調症が関係していることが少なくありません。本記事では、不定愁訴の具体的な症状や自律神経失調症との関連性、医療機関では、何科を受診すれば良いのか、簡単なセルフケア方法、一義流気功での取り組みをご紹介します。

不定愁訴と自律神経失調症

不定愁訴(ふていしゅうそ)は、検査で明確な異常が見つからないにもかかわらず、患者が様々なつらさを訴える状態を指します。医療現場では、原因が特定できない多様な不調をまとめてこの名称で扱います。

現れる症状は非常に幅広く、胃の不快感や頭痛、倦怠感、動悸などが代表的です。これらの症状は、日によって強さや現れ方が変わりやすく、複数の不調が同時に重なることも珍しくありません。ストレスや自律神経の乱れが背景にあるケースが多く、精神的な負担や生活環境の変化が症状を悪化させる要因となります。

強い症状が続くと、自律神経失調症や軽いうつ病、適応障害の初期段階が疑われます。放置せず、早めの対応が重要です。

身体的症状

不定愁訴には、具体的に以下のような身体的症状があります。これらは、自律神経失調症の症状と共通、もしくは類似しています。

全身症状

不定愁訴の中で、倦怠感(だるさ、疲れがとれない)は非常に多い症状です。たとえば、20代・30代女性を対象とした調査では、「だるい・疲れがとれない」と訴える人が82.8%と、最も多い症状として報告されています。また、医療機関の不定愁訴外来でも、初診時55.1%の患者が易疲労感(倦怠感)を訴えており、他の症状と比べても頻度が高いことが示されています

  • 全身の倦怠感や疲労感が継続する
  • 微熱やフラフラ感
  • だるさや脱力感が取れない

循環器系

不定愁訴にみられる循環器系の症状には、主に以下のようなものがあります。

  • 動悸(心臓がドキドキする、脈が速くなる)
  • 息切れ
  • 胸の痛み
  • 胸部圧迫感
  • のぼせ
  • 四肢の冷感や熱感

これらの症状は、心臓や血管の病気がないにも関わらず現れます。自律神経の乱れによって心拍や血圧の調整が不安定になることが主な原因とされており、不安や緊張が高まった時に強く出る傾向があります

感覚器系の症状

不定愁訴にみられる感覚器の症状には、以下のようなものがあります。

・耳鳴り
・味覚の異常
・嗅覚の異常
・物が二重に見える(複視)
・唾液分泌の異常
・口や眼の乾燥

これらは耳、鼻、目、口といった感覚器に違和感や異常を感じる症状です。たとえば、耳鳴りや味覚・嗅覚の異常は、検査をしても明らかな原因が見つからない場合でも自覚されることが多く、不定愁訴の特徴的な症状の一つです。

消化器系の症状

不定愁訴に現れる消化器系の症状には、次のようなものがあります。

・胃もたれ
・胃の痛み
・胸やけ
・不快感
・げっぷが出やすい
・食欲不振
・吐き気
・嘔吐
・腹部の張り
・便秘や下痢

これら症状に対し、消化管の検査で異常が見つからないケースが多いです。ストレスや自律神経の乱れが症状に大きく影響し、日によって強さや現れ方が変わります。複数の症状が重なる場合も珍しくありません。

胃腸は自律神経の影響を受けやすい臓器です。精神的な緊張やストレスが続くと、胃酸の分泌や腸の動きが乱れ、不快感が生じます。

精神的症状

不定愁訴の精神的症状には、以下のようなものがあります。

・イライラや焦燥感
・不安や恐怖感
・気分の落ち込み
・集中力や記憶力の低下
・睡眠の質の低下(不眠、熟眠感のなさ)
・意欲の低下

イライラや焦燥感では、些細な出来事に過剰に反応したり、落ち着かない感覚が続きます。不安や恐怖感は、明確な理由がなくても漠然とした不安が強まり、日常生活や対人関係に影響を及ぼす場合があります。気分の落ち込みが続くと、何をしても楽しめず、うつ状態に近い状態になることもあります

また、集中力や記憶力が低下し、仕事や学業に支障が出るケースも見られます。睡眠の質が悪化すると、疲労感が抜けず、日中の活動にも影響が及びます。意欲の低下によって、活動量が減り、生活全体が停滞しやすくなります

多くの場合、肉体的な症状が併発されています。精神的な症状と身体的な不調が互いに影響し合い、複雑な状態を作り出します

不定愁訴の原因と対処法

不定愁訴の原因と対処法について、内容を整理しながら詳しく解説します。

主な原因

不定愁訴には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。代表的なものとして、精神的ストレスや緊張状態の継続が挙げられます。ストレスが長引くと交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経の働きが乱れます。生活リズムの乱れや睡眠不足も、自律神経の機能低下を招きます。

ホルモンバランスの変動も重要な要因です。女性の場合、更年期や月経周期、妊娠・出産などでホルモンの分泌が大きく変化し、不定愁訴が現れやすくなります。甲状腺ホルモンの異常など、内分泌系の変化も影響します。

さらに、不規則な生活、運動不足、偏った食事などの生活習慣の乱れも症状の発現や悪化につながります。

うつ病や不安障害、適応障害などの精神疾患が背景にある場合や、膠原病や内分泌疾患などの初期症状として不定愁訴が現れることもあります。遺伝や体質的な影響も無視できません。

特徴的な点

不定愁訴は、複数の要因が重なって発症するケースが多く、症状の現れ方や強さは人によって大きく異なります。一般的な医学的検査では、明確な異常が見つかりません。

医療機関受診の目安

不定愁訴と思われる症状が続く場合、自己判断を避けて医師の診察を受けてください。以下のような状況では、早めの受診が必要です。この場合、不定愁訴と決めつけて受診せず、実は重大な病気だったというケースが怖いです。

・倦怠感や疲労感が長期間続く
・急激な体調の変化がある
・急な体重減少が見られる
・強い症状が現れ、日常生活に支障が出ている

診療科の選び方

最もつらい症状を基準に、診療科を選びます。

・動悸や胸の不調が目立つ場合は循環器内科
・腹痛や消化器症状が強い場合は消化器内科
・精神的な不調が中心の場合は心療内科や精神科
・女性で更年期や月経に関連した症状がある場合は婦人科
・男性で40歳以降に不調が現れる場合は内科や心療内科(男性更年期障害も考慮)

受診時のポイント

診察を受ける際は、症状の経過や頻度、生活習慣、ストレスの有無などを記録しておくと、医師への説明がしやすくなります。複数の症状がある場合も、整理して伝えることで診断がスムーズになります。

推奨される対応

かかりつけ医を持ち、我慢せず早めに相談してください。必要に応じて複数の診療科で評価を受けることも大切です。生活習慣の見直しやストレス管理、十分な休養も回復を助けます。

不定愁訴と自律神経失調症とは、何が違う?

不定愁訴と自律神経失調症は、いずれも「検査で明確な異常が見つからないにもかかわらず、さまざまな不調が現れる」という共通点を持ちます。両者は密接に関連していますが、厳密には異なる概念です。

不定愁訴は、「なんとなく体調が悪い」「原因が特定できない不調が続く」といった状態全般を指します。症状は多岐にわたり、頭痛、めまい、動悸、消化器症状、倦怠感、イライラ、不眠など、日によって現れ方が変わることも珍しくありません。精神的ストレスや生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化など、さまざまな要因が重なり合って発症します

一方、自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで生じるさまざまな症状の総称です。自律神経は、体温や血圧、内臓の働きなどを無意識に調整しています。ストレスや不規則な生活、環境の変化、ホルモンの変動などが自律神経の働きを乱し、全身の不調を引き起こします。症状には、だるさ、頭痛、動悸、息切れ、消化器の不調、冷え、めまい、情緒不安定や不安感などが含まれます

両者の違いとしては、不定愁訴が「原因不明の多様な不調」という現象そのものを表すのに対し、自律神経失調症は「自律神経のバランスの乱れによって生じる症状群」という医学的な診断名である点が挙げられます。実際の臨床現場では、不定愁訴の背景に自律神経の乱れがあるケースが多く、両者が重なり合うこともよく見られます。正直、この辺りは医師の主観で分かれ得るところですが、そこは本質ではありません。

まとめると、不定愁訴は「原因がはっきりしない不調の総称」であり、その一部が自律神経失調症として診断される場合があります。

不定愁訴に対する、医療の限界

「病理が明確ではない → 明確な治療法が存在しない」という関係性が成立します。対症療法を行いながら、ストレス、自律神経の乱れなど、原因と思われるものを患者自身が改善。自然治癒によって回復を待つというのが現状です。そういう意味では、本質的により重要なのは、次項でご説明するセルフケアの方です。

医療機関を受診する価値は、症状は明確な病気ではなく、不定愁訴と分類されるものだと知ることでしょう。

不定愁訴のセルフケア

不定愁訴の軽減には、生活習慣やセルフケアの工夫が重要です。それぞれの方法がなぜ有効なのか、どのような効果が期待できるのかを、項目ごとに詳しく説明します。

睡眠の質を高める

自律神経の安定には、十分な睡眠が欠かせません。睡眠リズムが乱れると交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、心身の不調が続きやすくなります。

  • 毎日同じ時間に起床・就寝する
    体内時計が安定し、朝の目覚めや日中の活動にメリハリが出ます。
  • 肉体を活動させて、適度に疲労させる
    体が疲れていないと、寝つきが悪く、睡眠も浅くなります。
  • ストレス源は、できるだけ減らしおく
    ストレスが多いほど、副交感神経に深く入りにくくなります。
  • 毎日を充実させる
    今日という日に納得していると、気持ちがリラックスして眠りが深くなります。
  • 寝る前にスマートフォンやパソコンなど強い光を避ける
    ブルーライトが脳を刺激し、眠りが浅くなりやすいため、就寝前は控えます。
  • 寝室の温度や湿度、照明を快適に整える
    快適な環境が入眠を促し、深い眠りをサポートします。
  • カフェインやアルコールの摂取を控える
    これらは睡眠の質を低下させるため、特に夜は避けます。

バランスの良い食生活

食事の内容やタイミングは、自律神経やホルモン分泌に大きな影響を与えます。

  • 規則正しい時間に食事をとる
    一定のリズムで食事を摂ると、体全体のリズムも整いやすくなります。
  • 主食・主菜・副菜を揃え、ビタミンやミネラル、食物繊維を意識する
    栄養バランスが整うと、心身の安定や疲労回復に役立ちます。
  • 午後以降のカフェイン摂取を控える
    覚醒作用が強く、睡眠の妨げになるため注意が必要です。
  • 夕食は消化の良いものを選ぶ
    胃腸への負担が減り、夜間の休息が深まります。

適度な運動

運動は血流を促進し、筋肉の緊張をほぐすだけでなく、ストレス解消や精神的な安定にもつながります。

  • ウォーキングやストレッチ、ヨガなどを日常に取り入れる
    リズミカルな運動がセロトニンの分泌を促し、気分の安定や睡眠の質向上に役立ちます。
  • 無理のない範囲で継続する
    体調に合わせて運動量を調整し、疲労感が強い日は休息を優先します。
  • 日光を浴びながら運動する
    体内時計のリセットやビタミンDの生成が促され、心身のリズムが整います。

ストレス管理とリラクゼーション

ストレスは自律神経の乱れを招き、不定愁訴の悪化につながります。意識的なリラクゼーションが心身の安定に役立ちます。

  • 深呼吸や自律訓練法、筋弛緩法を実践する
    呼吸や筋肉の緊張を緩めると副交感神経が優位になり、リラックスしやすくなります。
  • アロマテラピーや音楽、入浴などでリラックスする
    心地よい刺激が心身の緊張を和らげます。
  • 趣味や家族・友人との交流を大切にする
    気分転換や孤立感の解消がストレス軽減に役立ちます。
  • 環境から受けるストレスを、健康許容範囲に収める
    仕事、対人関係など、ストレスはあって当たり前です。今、自分が生じさせているストレスは、過剰ではないか?これは健康に生きていける範囲なのか?を検証して、生活設計を調整します。

日々の体調管理とセルフモニタリング

自分の体調や生活リズムを把握すると、早めの対策やセルフケアの精度が高まります。

  • 症状や生活リズムの記録をつける
    体調の変化や悪化要因を客観的に把握しやすくなります。
  • 生活リズムを一定に保つ
    不規則な生活は自律神経のリズムを乱しやすくなります。
  • 十分な休息を確保する
    疲労の蓄積を防ぎ、回復力が高まります。

これらの工夫は、すぐに劇的な変化をもたらすものではありませんが、継続することで自律神経のバランスが整い、不定愁訴の症状が徐々に軽減します。自分に合った方法を選び、無理なく続ける姿勢が心身の安定につながります

一義流気功では、不定愁訴をどう改善させるの?

不定愁訴は中身が見えない分、その対応も曖昧になりがちです。何となく健康に良いことを行って、何となく改善を待つという漠然としたアプローチになります。それでも効果は期待できますが、一義流気功では、それをより明確化させます。

不定愁訴の症状とその意味

多くの体の不調や症状は、実は健康を回復させるために現れます。たとえば、ケガをしたときに炎症が起こるのは、組織を修復するための自然な反応です。また、風邪による発熱も免疫機能を高める働きがあります。不定愁訴で現れる症状も、この場合、身体をより良い状態に導こうとする過程です。

ただし、不定愁訴と診断される場合は、症状が長期間にわたって続いていることがほとんどです。これは、全身の健康状態が低下し、身体が何とかバランスを保とうとしている証拠とも言えます。多くのケースで、不定愁訴はこのような身体の必死な調整の現れと考えられます。

潜在意識からの情報活用

自分の潜在意識は、身体の細かな状態や症状の背景をしっかり把握しています。現在の健康状態や症状の意味、その原因や改善のために必要なことまで、潜在意識には多くの情報が蓄積されています。一義流気功では、この潜在意識から情報を引き出し、症状の本質や改善の方向性を明確にします。その結果、必要な施術や生活習慣の見直しを的確に決めていきます。

セルフケアを実践する際、一般的な方法ではどうしても手探りになりがちです。しかし、潜在意識に問いかけることで、自分にとって本当に必要なアプローチが見えてきます。

一義流気功によるアプローチ

不定愁訴の背景は人によって異なるため、決まった施術方法はありません。状態に応じて、深いリラックスを促す、神経の圧迫を緩める、呼吸を深める、心のストレスやトラウマを和らげるなど、さまざまな方向からアプローチします。

また日常生活でのセルフケアにも、人とその時々で優先順位があります。これをピンポイントで絞って、より効率的に改善されるよう道を整えます。

まとめ

不定愁訴は、頭痛やめまい、倦怠感など多様な不調が現れる一方で、検査では明確な異常が見つからない状態を指します。背景には自律神経の乱れやストレス、生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化などが複雑に絡み合っています。症状は身体的なものから精神的なものまで幅広く、日によって現れ方や強さが変わることも特徴です。医療機関では、症状ごとに適切な診療科を選び、重大な疾患が隠れていないか確認することが重要です。

不定愁訴を改善させる中心は、医療ではありません。生活習慣の見直しやセルフケアであり、質の良い睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理などで改善される環境を整えます。

一義流気功では、潜在意識から症状の意味や改善策を探り、個々の状態に合わせたアプローチを行います。

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