低体温とは?

低体温とは、体温が正常範囲(一般的には36.0℃〜37.4℃)よりも低くなる状態を指します。日本人の場合、平熱が35.5℃未満の場合は「低体温」と考えられています。低体温は、寒冷な環境に長時間さらされることで起こるだけでなく、体内の熱産生や放熱調節に異常がある場合にも発生します。深部体温が35℃未満にまで低下した場合は「低体温症」と呼ばれ、生命に危険が及ぶ場合もあります。
低体温の主な症状
震え・寒気
体温が下がり始めると、身体は熱を生み出そうと激しい震え(シバリング)や寒気を感じ始めます。これは体温調節の初期反応であり、一般的に最もよくみられる症状です。
四肢の冷え・動作のぎこちなさ
手足や指先が冷たくなり、動きがぎこちなくなります。細かい作業が難しくなったり、歩行が不安定になったりする場合もあります。
疲労感・眠気・集中力低下
体が温存モードに入るため、強い疲労感や眠気が出やすくなり、集中力・判断力・記憶力が低下しやすくなります。
皮膚や粘膜の状態変化
皮膚が乾燥しやすくなったり、青白く冷たく感じられたりします。唇や指先が紫色(チアノーゼ)になることもあります。粘膜も弱くなりやすい傾向があります。
筋肉のこわばり・痛み
筋肉が硬直し、こわばりや痛み、重だるさを感じることがあります。歩行や運動時の動作が鈍くなる場合もあります。
言語・意識障害
低体温が進むと、発音が不明瞭になったり、混乱・錯乱・意識障害といった神経症状が現れます。重度では昏睡に至ることもあります。
低体温が引き起こす病気
低体温は血流、内臓機能、内分泌系など生命活動の根幹に深刻なダメージを及ぼします。そこから命に関わる重篤な病につながります。
心血管疾患
低体温は血管収縮を引き起こし、心拍や血圧に異常が生じます。中等症から重症に進行すると、徐脈や心房細動などの不整脈のリスクが高まり、最悪の場合は心停止に至ることもあります。特に高齢者や心疾患を持つ人は重篤化しやすいため注意が必要です。
神経・脳機能障害
低体温では意識レベルの低下、錯乱、幻覚、無気力や傾眠などの精神神経症状が進行します。体温が進行して低下すると昏睡に至り、場合によっては脳機能が深刻に抑制されるリスクがあります。
呼吸器系への影響
初期は多呼吸を呈しますが、進行するにつれて呼吸数や換気量が減少し、重症では呼吸停止をきたすこともあります。また、低体温による気道防御機能の低下で肺炎など感染症にもかかりやすくなります。
代謝・内分泌系の異常
低体温はエネルギー代謝を著しく低下させ、糖代謝異常や電解質バランスの乱れ、低血糖などを引き起こします。寒冷利尿や腎機能の低下も合わさり、体内のバランスが崩れやすくなります。
免疫力低下・感染症
低体温状態では免疫反応が抑制され、細菌やウイルスへの抵抗力が低下します。その結果、肺炎や尿路感染症、全身感染症などのリスクが高まります。
低体温を引き起こす原因

低体温は内的要因の詳細な医学的背景と、外的要因の環境、生活習慣、社会的状況により複合的に発症します。簡単に言えば、肉体の健康と生活環境との組み合わせです。
内的要因
代謝・熱産生の低下
- 筋肉量・加齢の影響
筋肉量が少ない人や高齢者は、基礎代謝による熱産生量が低くなり、暖かい環境でも体温が下がりやすくなります。 - 栄養不良・食事制限
食事量が不足しエネルギー源が枯渇すると、熱産生機能が低下し低体温に陥りやすくなります。 - 内分泌疾患
甲状腺機能低下症、下垂体・副腎機能障害、糖尿病による低血糖などは体内のホルモンバランスや代謝異常が起こり、熱産生不足に直結します。
体温調節中枢の障害
- 脳疾患・中枢神経障害
視床下部や自律神経の機能低下、脳卒中・外傷・認知症など、体温調節中枢が障害されると、正常な体温維持が困難になります。 - 高齢者特有の感覚鈍麻
加齢により温度感覚が鈍くなり、体温調節への反応が遅れることで低体温が起こりやすくなります。
感染症・慢性疾患
薬物・アルコールの影響
- 薬剤による体温調節障害
精神科薬、鎮静薬、降圧薬、麻薬などの薬剤は中枢抑制や熱産生低下・意識障害を引き起こし、低体温を招きます。 - アルコール
アルコールは血流を促進する一方で実際には熱の放散を増加させ、体温が下がりやすくなります。
外的要因
環境要因
- 寒冷な気候・屋外環境
冷気や積雪、低水温下で過ごすことで熱放散が促進され、急速な低体温につながります。 - 冷水・水難事故
水は空気より熱伝導率が高いため、水難事故や水泳による長時間の冷水暴露は、急速な低体温の主因です。 - 風・湿度・濡れた衣服
強風や湿度、濡れた衣類は体表からの熱放散量を増大させるため、体温維持を困難にします。
屋内環境
- 暖房のない室内・寒冷な住宅環境
部屋の気温や床の冷たさ、断熱が不十分な住宅、暖房設備の未装備は、長時間過ごすうちに体温低下の原因となります。 - 長時間同じ姿勢(寝具・椅子など)
動かず同じ場所で過ごすことで血流が悪化し、熱産生低下によって体温が下がりやすい環境になります。
衣服・生活習慣
- 不適切な衣類選択
薄着や濡れた衣服を長時間着用することで熱喪失が増加し、低体温を発症しやすくなります。 - 生活リズム・社会的要因
極端なダイエットや睡眠不足、低栄養状態、衛生環境の整っていない生活は体温維持機能を低下させ、低体温を促進します。
気功によるセルフケア、低体温改善法

気功とは何か?
気功は「調身(やさしい動作)」「調息(深い呼吸)」「調心(意識集中)」という三要素を調和させる健康法です。力を抜いてリズムよく体を動かし、呼吸に意識を向けることで、自律神経や免疫力、気分の安定にも役立ちます。
実践方法1:スワイショウ(腕振り気功)
スワイショウ(腕振り気功)は、全身をゆるめて血流を促進し、冷えや筋肉のこわばりを改善する効果的な方法です。スタートは肩幅に足を開いて立ち、膝・股関節を軽くゆるめ、肩・腕・手首まで完全に脱力することがポイントです。腕は前後または左右に振りますが、腕の重みや遠心力を利用して、無理なく自然なリズムで動かしましょう。
腕を振るうちに腰や体幹も連動して動き、肩甲骨や背中、腰の緊張が少しずつほぐれます。呼吸は浅くなりすぎないように意識し、腕を振る動作に合わせて、ゆっくり深呼吸を入れるとよりリラックス効果が高まります。慣れてきたら、体重移動やウエストのねじりを加えて全身が連動する感覚を味わうのもおすすめです.
初心者は1分~3分(約100回)ほどから始め、冷えや重だるい感じが取れやすくなります。継続することで肩こり・腰痛、末端の冷えにも効果を実感でき、日常の気分転換やリフレッシュにも役立ちます。
実践方法2:腹式呼吸・呼吸瞑想
腹式呼吸・呼吸瞑想は、気功で最も大切な基本です。まず無理なく背筋を伸ばし、鼻からゆっくり息を吸い込みます。お腹をふくらませる意識で丹田(おへその下)まで空気を送るイメージを持つとよいでしょう。
次に、口からゆっくり長く息を吐きます。お腹をへこませながら、体内の余分な緊張や疲れも一緒に外へ追い出す気持ちで吐くのがポイントです。吐くときは吸う時の倍くらい時間をかけるのがおすすめです。
呼吸に集中することで副交感神経が優位になり、心身が深くリラックスします。姿勢を保ったまま、「呼吸瞑想」として数回から10回程度、静かな場所で続けると、体温が上がりやすく、冷えや疲労の改善、心の安定にもつながります。腹式呼吸・呼吸瞑想は、気功の根幹ともいえる実践法です。背筋を伸ばして座り、鼻からゆっくりと息を吸いながらお腹が膨らむのを意識します。吸った空気を丹田(おへその下)へ送るイメージが理想です。次に、口からゆっくりと息を吐き、お腹をへこませて体内の緊張や余分な力も外へ流す気持ちで吐き出しましょう。吐くときは吸う時より長く、静かなリズムで繰り返すのがポイントです。
呼吸だけに意識を向け続けると、体の内側が温まり副交感神経が働きやすくなります。毎朝や夜寝る前、気持ちを落ち着かせたい時に数回から10回程度、静かに行うことで体温が上がりやすく、全身がリラックス・安定します。
継続のコツ
- 動きはやさしく、無理なくリズムよく
- 深い呼吸で緊張を抜き、自然体で続ける
- 朝や夜、冷えを感じた時に短時間でもOK
- 習慣化すれば体温や体調の変化を実感
このように、気功は呼吸と動作をバランスよく取り入れることで冷えや低体温の症状改善に役立ち、日常のセルフケアとして誰でも始められる手軽な健康法です。
一義流気功では、低体温にどう対応するの?

健康を害する人の多くは、低体温を伴っています。症状や病気を改善させる時、低体温からの脱却は大きなテーマになります。
筋硬直と血流の悪さの悪循環
極度に冷えの強い方は、体の芯が冷え、筋硬直による血流の悪さが負の連鎖を起こしています。この負の連鎖を断ち切り、体温を高く保つ循環に導いて安定させることが治療の目的になります。施術においては、体の奥から筋硬直を緩めます。また日常生活では、運動による自発的な発熱、適切な入浴習慣によって外側から体をじっくりと温めるよう指導しています。
潜在意識から情報を引き出す
潜在意識は、自身の体の状態を詳細に把握しています。低体温に対しても、「今、なぜ体温が低いのか?」「どうすれば上げられるのか?」を知っています。潜在意識から情報を引き出すことで、行うべき施術、日常生活での具体的な取り組みが定まります。例えば、入浴習慣でも、人と状態によって求められるノルマが異なります。軽度では30分程度ですが、重度ですと最大で120分のリクエストが来ます。
こうして個々の状態に合わせた、丁寧な対応が可能になります。
まとめ、結論
低体温とは、体温が36.0℃未満など正常より低い状態で、震えや手足の冷え、集中力低下、筋肉のこわばりが主な症状です。放置すると免疫力低下や心血管疾患・感染症など命に関わる病気につながります。
気功(例:スワイショウや腹式呼吸)は、筋肉の緊張をほぐし血流を促して体温上昇や自律神経の安定に役立ち、低体温のセルフケアとして有効です。
一義流気功では、体の奥からの筋硬直改善・個別適応の運動・入浴指導で冷え体質を脱却させます。
小池義孝の本
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