冷え症を克服する漢方薬と東洋医学の統合治療

冷え取り健康法

冷え症は西洋医学と東洋医学で捉え方が大きく異なります。西洋医学では「冷え」を診断名や治療対象とせず、原因不明の場合は体質や自覚症状として捉えます。そのため冷え症に特化した治療薬はなく、根本的なアプローチは限られています。一方、東洋医学では冷え症は体のエネルギーや血・水の循環が乱れた状態=未病として重要視されます。冷えは万病の元と考え、「気虚」「瘀血」「水毒」など個別の体質やバランスの乱れに応じて、漢方薬・鍼灸・食事療法など多角的な治療が実施されるのが特徴です。また、東洋医学では五感や生活習慣も重視し、未病予防の観点から冷え症改善に日々のセルフケアが推奨されます。

冷え症とは何か? 現代と東洋医学の視点

冷え症の定義と西洋医学との違い

冷え症とは、手足や全身が慢性的に冷たく感じる状態を指します。日本では女性に多くみられる症状ですが、西洋医学では、冷えそのものを病気とは認定しないため、診断名や治療対象になることは少ないです。一方、東洋医学では冷え症は体質の乱れと考えられ、体内のエネルギーバランスや巡りの乱れが冷え症の原因になるとされています。

現代社会での冷え症の悩みと影響

現代社会では、冷房の使用や運動不足、ストレス、不規則な生活習慣などが冷え症の増加要因となっています。特に冬場や仕事・家事・育児で忙しい方々には、冷えによる身体のだるさや頭痛、肩こり、不眠など、さまざまな不調が現れやすくなっています。冷え症を放置することで、生活の質が低下し、慢性的な不調や疾患リスクが高まる場合もあります。

冷え症の頻度・性別・年代・ライフスタイル

冷え症は、日本人の約半数が何らかの症状を経験すると言われ、特に女性に多い傾向があります。年代は、子どもから高齢者まで、年齢を選びません。

現代のライフスタイルは、冷え症を招きやすいと言われています。生活環境の変化や働き方の多様化により、以前とは異なるリスクが生まれています。例えば、長時間の座り仕事やデスクワークは、筋肉の活動量や基礎代謝を低下させ、熱生産力を損なう要因となります。さらに、冷暖房の効いた室内環境で過ごす時間が長いと、外気との寒暖差により自律神経が乱れやすく、体温調節機能がうまく働かなくなります。

また、季節を問わず薄着で過ごす習慣や締め付けの強い衣類の着用も、血行不良や温度調節の障害を引き起こします。食事面では、朝食抜きや栄養バランスに欠けた食生活、冷たい飲み物や単品の摂取が多いことなどが、体を十分に温める力やエネルギー生産の低下につながります。睡眠不足や不規則な生活、慢性的なストレスも自律神経の働きを乱し、全身の血流を悪化させる原因となります。

このように、冷え症はライフスタイルが複雑に絡み合うことで、誰にでも起こり得る身近な問題として存在しています。特に働く女性や主婦、ご高齢の方などは、それぞれ異なる環境や習慣により、冷えを感じやすい場面が多くなります。季節や居場所、行動によって冷えの悩みが現れやすいという点を意識した日常管理が、冷え症予防と緩和のために重要です.

東洋医学の冷え症観:「気・血・水」「陰陽バランス」基礎

東洋医学では、冷え症の主な原因を「気(生命エネルギー)」「血(栄養・循環)」「水(体液)」の不足や滞りによるものと考えます。また、「陰陽」のバランスが崩れることも体を冷やす要因のひとつです。気虚タイプはエネルギー不足を、血虚や瘀血タイプは血行不良、水毒タイプは水分循環の乱れによる冷えを引き起こします。これらの不調は、ストレスや不摂生、加齢によっても現れやすくなります。

東洋医学の診断や治療では、個人の体質や症状の原因に応じて「温める」「巡らせる」「補う」ことを重視し、鍼灸や漢方薬、食事療法などを組み合わせて冷え症の改善を目指します。

東洋医学による冷え症の分類と原因

冷え症の東洋医学的分類(全身型・末端型・下半身型など)

東洋医学では、冷え症を、現れ方によっていくつかのタイプに分類します。まず「全身型」は、身体全体が冷えて基礎代謝が低い方に多く、季節を問わず常に冷えを感じやすいタイプです。「四肢末端型」は、主に手足の指先が冷たく感じるもので、日常的なストレスや自律神経の乱れ、血流不全などが原因となります。「下半身型」は、特に足や腰などの下半身に冷えが集中し、上半身との温度差がみられるタイプです。また「内臓型」は、手足は温かいのにお腹や体の中心が冷えるタイプで、特定の体質や生活習慣が関係すると考えられています。

主要な原因パターン:「気虚・血虚・瘀血・水毒・腎虚」

東洋医学では、冷え症の根本原因を「気虚」「血虚」「瘀血」「水毒」「腎虚」といった体質やバランスの乱れに分類します。「気虚」は体を温めるエネルギー(気)が不足した状態で、疲れやすさや風邪をひきやすい傾向があります。「血虚」は血液の量や循環が足りず、栄養供給や体温維持がうまくいかなくなります。「瘀血」は血液の滞り・流れの悪さによって、末端部位の冷えやしびれ、肩こりなどが見られやすくなります。「水毒」は体内の水分代謝が崩れ、むくみや重だるさ、体の深部冷えにつながります。さらに「腎虚」は、加齢や過労により腎の機能が低下し、全身的な冷えや足腰のだるさを感じやすくなります。これらの体質・原因の違いによって、有効なアプローチや治療方法も異なります。

発症メカニズム解説(体内エネルギー循環、流れの停滞、不足)

冷え症が発症するメカニズムとして重要なのは、体内のエネルギー循環と流れの質です。体をめぐる「気」「血」「水」が滞ったり、不足したりすると、冷え症状が生じます。例えば、「気」が足りないと全身へのエネルギー供給が弱まるため、温める力が落ちてしまいます。血流の停滞や不足によって、指先や末端まで十分な熱が行き渡らなくなり、四肢末端型の冷えが起こります。一方、水分代謝が乱れると、余分な水分が冷えやむくみの要因となりやすいです。また、加齢や過労、不摂生が続くと腎の力が低下し、生命力の補給が追いつかず、慢性的な冷えにつながります。このように体内バランスの崩れが、冷え症の直接的な発症要因となっています。

冷え症の診断と治療アプローチ

東洋医学的診断(舌診・脈診・腹診・問診・観察)

東洋医学では、冷え症の診断にあたって、全身を細かく観察する独自の手法を重視します。まず「舌診」で舌の色、形、苔の状態を観察し、血流やエネルギーバランスの乱れを判断します。「脈診」では、手首の脈の太さや弾力、強弱、リズムから体質や臓器の働きを推察します。「腹診」は腹部の緊張や圧痛、冷たさ、張りなどを確認し、内臓機能や寒邪の有無を調べます。加えて「問診」では生活習慣、食事、睡眠、月経や既往歴などを細かく聞き取り、冷えの原因や背景を総合的に整理します。見た目の全体観察(顔色、手足の温度)も大切にされ、患者ごとの冷えの根本要因をつかみとります。​

治療の原則―体質改善と「温め・流し・補う」

冷え症治療の基本は、「温める」「巡らせる」「補う」を組み合わせ、体質全体の改善にあります。西洋医学が対症療法に偏るのに対し、東洋医学では気血水を調え、生命エネルギーと循環力を高めることで根本的な体質変化を促します。温めながら血行と気の流れを促進し、体に足りないものは漢方薬や食事で補う。全身バランスを整えつつ、冷えの原因に応じた個別のアプローチを大切にします。

食事療法(食材選び・温冷バランス・推奨調理例)

食事療法は、冷え症のセルフケアとして非常に重要な役割を担います。身体を温める効果のある食材―生姜、ネギ、ニンニク、唐辛子などの薬味、根菜や発酵食品、良質なタンパク質―を積極的に取り入れましょう。反対に、冷たい飲み物や生野菜、果物など体を冷やす食品は、量や頻度を控えましょう。温かい汁物(味噌汁、スープ)、煮込み料理、鍋料理などが季節問わず推奨され、消化吸収を高めながら体温維持に役立ちます。食材選びと調理法のバランスを意識し、過度なダイエットや偏った食生活にも注意してください。

温める食材冷やす食材
生姜、にんにく、ねぎ、ニラ、山椒、シナモン、唐辛子、赤身の肉(牛・ラム・鶏)、羊肉、エビ、魚(鯖・サンマ・イワシなど青魚)、ごま油、黒砂糖、黒豆、栗、もち米、干し椎茸、酒粕、納豆、みそ、キムチ、長芋、ごぼう、れんこん、にんじん、かぼちゃ、かぶ、発酵食品、紅茶、ほうれん草、しそ、小豆、くるみ、卵きゅうり、トマト、なす、キャベツ、大根、白菜、セロリ、レタス、とうもろこし、ズッキーニ、豆腐、緑茶、麦茶、白砂糖、牛乳、ヨーグルト、コーヒー、果物(スイカ・バナナ・梨・柿・パイナップル・メロン・マンゴー)、小麦粉、そば、貝類、イカ、カニ、タコ

漢方薬の種類と適応(桂枝茯苓丸・当帰四逆加呉茱萸生姜湯・真武湯ほか)

​冷え症には、体質やタイプごとに、様々な漢方薬が活用されます。代表的な処方の一つ「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」は、血流改善や女性ホルモンの調整に優れ、特に月経不順や冷えを伴う女性に用いられます。「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」は、手足の末端冷え、特に冬場や寒冷刺激に弱い人に効果的です。「真武湯(しんぶとう)」は、体力低下やむくみ、だるさを伴う全身型冷え症に適応されます。その他にも、症状や体質に合わせて「六君子湯(りっくんしとう)」や「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」などを使い分けます。

漢方薬の処方は、熟練した漢方医によって成される必要があります。全身のバランスを整えるはずのものが、見立てを間違えると、逆にバランスを崩す原因になります。漢方薬を検討する際には、信頼できる漢方医を見つけてください。

鍼灸の利用法と代表的ツボ

鍼灸治療は、冷え症の改善において非常に効果的な手段とされています。鍼や灸によって体表の「ツボ」を刺激し、血行促進や気の巡り改善、内臓機能調整などをもたらします。代表的な冷え症対策のツボには「三陰交」「足三里」「関元」「湧泉」などがあり、それぞれ足腰や腹部の冷え、全身の循環不良に対してアプローチできます。灸(温熱刺激)は特に女性や高齢者、慢性的な冷え症状の方におすすめです。​

こちらも、優れた信頼できる鍼灸師を見つめることが前提です。

日常生活でのセルフケア(保温・運動・睡眠・入浴)

冷え症の予防や改善には、まず「冷やさない環境づくり」が基本になります。生活習慣全体を、冷え対策にカスタマイズしましょう。

衣類・寝具で冷やさない

首・手首・足首・腰など、冷えやすい部分を意識して、マフラーやレッグウォーマー、腹巻き、あたたかい寝具などで重点的に保温しましょう。特に下半身の冷えは全身の巡りに影響しやすいため、靴下・レッグウォーマー・腹巻きなどを活用して冷えをブロックします。締め付けが強すぎないアイテムを選ぶと血流を妨げにくく、長時間でも続けやすくなります。

運動を生活に組み込む

ウォーキングやストレッチ、軽い筋力トレーニングを日常のルーティンに取り入れると、血流が促進され基礎代謝も維持しやすくなります。全身の熱産生が高まり、冷えにくい体質づくりにつながります。

入浴・足湯で芯から温める

夜はシャワーだけで済ませず、湯船にしっかり浸かって体の芯まで温めることが大切です。38~39度の温度設定で連続で30分以上を目安にしてください。足湯もまた、効果的です。血行が良くなり、慢性的な冷えの緩和が期待できます。

睡眠と生活リズムを整える

十分な睡眠と規則正しい生活リズムは、自律神経のバランスを整え、冷えにくい体づくりを助けます。ストレスを溜めすぎない工夫やリラックスできる時間を持つことも、冷え症対策の一部と考えてください。

続けられる範囲で習慣化する

毎日の基本的な生活管理の積み重ねによって、少しずつ「冷えに強い体」へと変化していきます。無理のない範囲で取り組み、自分に合った方法を続けることが、冷え症改善の一番の鍵になります。

冷え症のタイプ別・体質別ケアと今後の展望

タイプ別セルフケアとアドバイス(女性・高齢者・現代人の冷え)

冷え症は、感じる部位や原因によって主に「四肢末端型」「下半身型」「内臓型」「全身型」に分かれます。女性や現代人は手足の末端型が多く、栄養バランスや運動不足、過度なストレスが原因となります。高齢者では下半身型が目立ち、足腰や下半身の血流低下が主な要因です。タイプごとに、手足は温めやストレッチ、下半身は歩行・下肢運動、内臓型は規則正しい生活や温かい食事、全身型には生活全般の温活とバランス改善が有効です。

治療事例・回復体験(代表的ケース紹介)

四肢末端型の女性のケース

長年、手足の冷えと肩こりに悩む女性の事例です。食事内容を見直し、生姜や根菜の摂取を増やし、ウォーキングを習慣にしました。さらに、手袋やレッグウォーマーで冷えやすい部位を重点的に保温し、鍼灸治療も取り入れました。これらの取り組みにより、冷えの悩みが徐々に緩和しました。

下半身型の高齢男性のケース

日常的に座りっぱなしの生活を続けていた高齢男性は、足腰の冷えが悪化していました。ふくらはぎマッサージや下半身の運動を継続した結果、血流の改善を実感しています。温かい飲み物や入浴習慣も加えると、少しずつ足先の冷えが和らいでいきました。​

内臓型の現役世代女性のケース

仕事中の緊張やストレスが強く、胃腸の冷えを感じていた方です。夕食に温かい汁物を増やし、休日は湯治や足湯など温活を積極的に実践しました。その結果、「張りや不調」を感じる場面が減り、コンディションも安定しています。

いずれのタイプも自分に合った方法で地道なケア・生活改善が回復につながります。

重症化・慢性化への対応と医療機関受診の目安

日々セルフケアを続けても改善しない強い冷え、全身の強い倦怠感、頻繁な胃腸障害や睡眠障害、しびれや歩行困難など重度の症状がある場合は、早めに専門医・漢方医を受診してください。甲状腺や自律神経、循環器系の異常が疑われる場合もあります。市販薬や民間療法だけで放置せず、必ず医療機関で詳しい診断・治療を受けることが最善策です。定期的な健康チェックと、プロの助言に基づいたケアで未然に重症化を防ぎましょう。

一義流気功治療院では、冷え症にどう対応するの?

それでは一義流気功では、冷え症にどう対応するのでしょうか?筋硬直、日常生活での最適化された取り組みへの助言がポイントです。

筋硬直に対する独自アプローチ

一義流気功の冷え性対応は、根深く残る筋硬直に狙いを定めています。長期にわたり冷えが続くと、筋肉の緊張が慢性化し、柔軟性を失いやすくなります。一度ゆるめても、すぐ硬直が戻ってしまう状態です。施術では、身体が持つ本来のゆるめる能力を引き出し、繰り返し働きかけることで、柔軟性を回復した筋肉へと切り替えていきます。この結果、冷えに悩む体質の改善につなげています。

潜在意識の情報活用

さらに一義流気功では、潜在意識から心身に関する詳細な情報を引き出します。本人が認識しづらい身体状態や悩みの根本原因、どの筋肉が血流障害の中心なのか、適切な運動の量や入浴時間などを把握します。引き出した情報に基づいて、ピンポイントで施術箇所を特定し、日常生活への取り組みまで設定可能です。

個々に合わせた丁寧な対応

これら施術と情報分析を組み合わせて、冷え性の根本解決にアプローチします。患者一人ひとりの身体状態に即した方法で、細やかに筋肉の質や生活の改善を促す対応に徹しています。

まとめ、結論

冷え症は、多様な生活背景と体質で誰にでも起こりうる身近な体調不良であり、西洋医学では疾患とみなされず対症的な対応にとどまります。一方、東洋医学では冷え症を「気・血・水」の巡りやエネルギーバランスが乱れた“未病”と捉え、根本的な体質改善を重視した多角的なアプローチで改善をもたらします。

冷えが引き起こす不調やリスクを軽減するためには、日々の生活やセルフケアの見直し、体に合った方法の継続が不可欠です。自分自身の体質や環境を客観的に見直し、小さな心がけの積み重ねが、冷えに強い体作りにつながります。

一義流気功では、慢性的な冷えと深く関わる筋硬直の根本的な解消に特化した施術を行い、さらには日常生活の最適化を行い、冷え症からの脱却を実現させます。

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