なぜ離人感が起きる?原因と効果的な改善ステップを専門家が解説

精神問題

離人感とは、自分自身や周囲の世界が現実でないように感じる心理状態です。自己認識や感情が、自分から切り離されたような違和感があります。精神医学的には「解離症状」の一つとされ、心が過剰なストレスやトラウマから自己を守る防衛反応と考えられます。こうした離人感の根底には、本人を守ろうとする心の働きがあり、症状が現れた場合にはその背景や仕組みを冷静に理解し、適切なセルフケアや専門的支援が求められます。

離人感とは何か?その症状と原因

離人感の定義と特徴

離人感とは、自分自身や周囲の世界が現実でないように感じる心理状態です。この感覚では、自己認識や感情がまるで自分から切り離されているように感じられ、他者の目で自分を眺めているような違和感を伴います。精神医学では、「解離症状」の一つとして分類されており、心が外部からの強い刺激やストレスによって自身を守る防衛反応と考えられています。

本来、心は自分という一貫した連続性を持っていますが、離人感が強まるとこの連続性が曖昧になり、「自分が自分でない」という異常な自己体験や現実感がゆらぎます。発症はあらゆる年代で見られ、日常生活や社会活動に影響を及ぼすことが少なくありません。

離人感の主な症状

離人感を抱える人の典型的な症状には、まず「自分の身体や感情が他人事のように感じる」鈍麻が挙げられます。例えば、自分の発言や行動、さらには感情の起伏そのものがどこか遠くで起きているような感覚に支配されるなど、精神と自分という存在性とが一致しません。喜怒哀楽の感覚が薄くなり、楽しいはずの出来事や嬉しい瞬間にも心が動かない、従来の自分であれば怒っている・悲しんでいるはずなのに他人事のよう、と正常な感情の反応が薄くなります。​

周囲の世界が遠く感じ、「現実感消失」のような状態を伴う場合もあります。日常の景色が非現実的に見えたり、時間や空間そのものが曖昧に感じられます。これらの症状は一時的なこともあれば、長期間持続する場合もあり、集中力や判断力、さらには社会的活動や人間関係に悪影響を及ぼす恐れがあります。​

離人感は、日常生活の中で突然現れることが多く、強い不安や混乱を伴うこともあるため、「自分がおかしくなってしまったのではないか」と悩む例も珍しくありません。こうした状態が継続すると、心身の健康や生活の質が著しく低下する恐れがあり、早めの対策と理解が求められます。

離人感の原因

離人感の主な原因としては、精神的なストレスや心的外傷(トラウマ)の影響が最大の要因となっています。過去の虐待やネグレクト、交通事故や自然災害など、強い衝撃を受ける体験は心に強い負荷をかけ、その結果として離人感が生じます。​

また、うつ病や不安障害、統合失調症などの精神疾患が背景に隠れているケースも多く、精神的な不調のサインとして離人感が現れることもあります。脳機能の偏りや神経伝達物質(セロトニン・ドーパミンなど)の変化といった生物学的要因が関与しているとの研究報告もあります。

さらに、アルコールや薬物の過剰使用などによる一時的な神経系の変化が、離人感を引き起こす場合も指摘されています。原因は複合的に絡み合うことが多く、個人ごとの背景を正しく把握することが予防・改善へと繋がります。

離人感の改善ステップ

ステップ1:原因の理解と受容

離人感が現れる背景には、心理的あるいは生物学的な多面的要因が隠れています。まずは「なぜ離人感が自分に生じているのか」という仕組みに目を向け、客観的に有りのままの自分を受け入れます。その時、自分を否定的に見ないように気を付けてください。

離人感は、心が極度のストレスやトラウマに晒された際、自己を守るための防衛反応の一つと考えられています。突然の感覚の変化に戸惑うのは自然なことですが、こうした症状をただ異常と見做さず、「心が限界を感じて出すサイン」だと理解してください。自己否定や過剰な不安感は、余計に問題を深刻化させます。

「これは、心身が危険を避けようとする状態だ」と、正しく理解してください。そして狭い視点ではなく、現在の環境と人生経験全体の中で起こっている事だと、広い視野を持ちます。これがステップ1です。症状のみに執着するのではなく、客観的に現状を認識し受け入れる。それが回復への出発点となります。

ステップ2:セルフケアの実践

離人感の軽減に役立つ日常的なセルフケアには複数の方法があります。

グラウンディング技法の実践
グラウンディング技法は、不安や緊張、頭の中の混乱を落ち着かせ、「今この瞬間」に意識を戻すための練習法です。やり方は難しくありません。五感(見る・聞く・触れる・嗅ぐ・味わう)を一つずつ意識して、現実の環境に自分を結びつけます。

深呼吸を一つしてから、次のように行ってみましょう。

  1. 足の裏が床につく感覚を確かめます。重さ、温かさ、硬さに注意を向けます。
  2. 周囲を見回して、目に入った物を五つゆっくり数えます。色や形、明るさを意識します。
  3. 近くの音を三つ探します。エアコンの音、人の気配、風の音などです。
  4. 手で何かに触れて、その質感を確かめます。木の机のざらつきや、服のやわらかさでも構いません。
  5. 最後に、冷たい水で手を洗ったり、飲み物をひと口飲んで味覚にも注意を向けます。

このように感覚を順番に使うと、頭の中で渦巻いていた考えや不安が少しずつ静まり、「いま、ここ」に意識を戻しやすくなります。

リラクゼーション法と規則正しい生活
深呼吸や腹式呼吸、ストレッチ、瞑想、ヨガといったリラクゼーション法は肉体と神経の安定に寄与します。また、十分な睡眠・バランスの取れた食事・適度な運動を維持することは脳や心身の健全な働きを支え、症状の安定や再発防止にも役立ちます。

ストレスマネジメント
ストレスの原因から一定の距離を取りながら、趣味や好きなことに意識的に時間を使い、過度な情報摂取やSNS利用も控えましょう。小まめに休息を取ることで、心身への負担を和らげることが可能です。

セルフケアは、日常の積み重ねでより大きな効果が期待できます。症状の重い日や気分の乗らない日もありますが、無理なく出来る範囲で続けていきます。​

ステップ3:専門家への相談と治療

セルフケアだけで症状の改善が難しい、離人感が長期間にわたり日常生活に支障を及ぼしている場合は、専門家を頼るのも良いでしょう。精神科や心療内科では、離人感や解離症状の背景にある要素を診断し、​現代医療的なアプローチを受けられます。

心理療法(認知行動療法など)
認知行動療法(CBT)は、不安や恐怖、否定的な思考パターンを現実的なものへ修正するトレーニングがメインです。また、グラウンディングや感情認識トレーニングなど、解離に特化した心理的アプローチを併用することも増えています。

トラウマ治療・支持的精神療法
過去の心的外傷が影響している場合は、専門的なトラウマケアや心理教育(症状への理解を深めるサポート)が行われます。

薬物療法の併用
症状が強く、日常生活に著しい支障が出ている場合には、医師の判断で抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法を併用する場合があります。

継続的な専門的サポート
治療は短期間で完結するものではなく、患者ごとに異なるペースで進みます。途中で経過が変動する場合もありますが、継続的なサポートと自己理解の深化が重要です。孤立せず定期的に専門家と相談を重ねることが、回復と再発予防の両方につながります。

一義流気功治療院では、離人感にどう対応するの?

それでは一義流気功では、離人感に対して、どう対応するのでしょうか?離人感に至った構造を最深部から捉え、より本質的なアプローチを行います。

離人感の本質は、精神エネルギーの分散と麻痺

ほとんどのケースで、ストレスやトラウマがその原因になっているのは間違いありません。症状によって心身を守ろうとしているのも、その通りです。グラウンディングで即効性を期待できるのも、構造上、理に適っています。ではその時、潜在意識では何が起こっているのでしょうか?

精神的苦痛の度合いによって、精神は対応の仕方を変えます。苦痛による精神状態の下降圧力と、それに対抗する精神エネルギーが、どのポイントで均衡するかという問題です。例えば、軽度であれば怒りによって屈服(深く落ち込む)のを拒否できます。けれども苦痛が精神エネルギーを圧倒すると、やがては精神を破壊するに至ります。それを防ぐために、感受性を麻痺させて対応。麻痺症状の中に、離人感が含まれるというわけです。

また精神的苦痛は、その出来事に精神エネルギーを閉じ込めます。簡単に言えば、「気にしている」です。過去の苦痛の出来事に多くの精神エネルギーを分散させていれば、今の自分の感覚への配分が減少します。

離人感は、この「麻痺」と「分散」の合計です。ですからトラウマが抜ければ麻痺は回復するし、今の自分に精神エネルギーを戻せば分散は収まります。

トラウマを消す異常反応の解体

トラウマを消すと言っても、そう簡単な話ではありません。しかし一義流気功では、トラウマを「記憶領域 + 心の毒(精神的苦痛)」と本質を捉え、心の毒を消す多くのメソッドを持っています。特に、異常反応の解体はその中核を成します。潜在意識の異常反応が、心の毒を外れなくさせる。

異常反応の解体 → 心の毒の処理

という行程を正しく経ることで初めて、重く外れないトラウマは本質的な解決に至ります。

精神エネルギーの分散を引き戻す

グラウンディングによっても分散は改善し得ますが、一義流気功では治療として分散を引き戻す作業も行います。その際、何パーセントの精神エネルギーが分散していたのかも出します。

潜在意識から必要な情報を引き出す

潜在意識とは、自分で認識できない領域を指します。明確に境界線はなく、次第にグラデーションで分からなくなっていくものです。潜在意識では、自身の心身についての莫大な情報があります。離人感、その原因となるトラウマや分散について、詳細に把握されています。

この潜在意識から必要な情報を引き出すことにより、治療者の経験と直感に頼りきらない、個人個人の状況に合わせた丁寧な対応が可能になっています。

まとめ、結論

離人感は、自己や現実感の喪失によって生まれる独特の心理症状であり、強いストレスやトラウマ、精神疾患などが複雑に絡み合った結果として起こります。この感覚から抜け出せなくなった場合、日常の感情反応や社会的活動に大きな制約が生じ、心身の健康に深刻な影響を与えます。

改善には、原因の理解と受容、日常的なセルフケアの実践、そして必要に応じて心理療法や医療的介入を併用するのが一般的です。グラウンディング技法やリラクゼーションは即効性も期待でき、継続的なストレスマネジメントが予防や再発防止にも役立ちます。

こうした一般的な対策に加えて、一義流気功では、精神エネルギーの分散や麻痺といった構造に注目し、個々の潜在意識に働きかけることで、より本質的な回復へと導くアプローチを実現しています。

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