なぜ足腰は年齢とともに衰える?対策・注意点・やってはいけないNG習慣

心身の健康

高齢になると、足腰の衰えを実感する方が増えてきます。これは単なる筋力低下だけでなく、柔軟性やバランスの悪化、関節の痛みや神経のトラブル、さらには活動量や食事内容の変化など、さまざまな要素が複雑に絡みあって生じます。筋肉量の減少(サルコペニア)や全身の虚弱(フレイル)は、日常生活の範囲を縮め、歩行や立ち上がる動作にも支障をもたらします。

正しく原因を見極め、できるだけ全体的な対策が必要です。生活習慣の見直しと正しい知識が、健康寿命を守る第一歩です。

足腰の衰えとは何か

加齢とともに足腰が弱くなる現象は、多くの高齢者の健康課題となっています。足腰の「衰え」とは、筋力や柔軟性、バランス力、持久力が低下し、歩行や立ち上がり動作などの日常動作が難しくなる状態を指します。これにより転倒リスクが高まり、外出や社会参加の意欲低下、生活の質の低下へとつながっていきます。

​​これは筋肉・骨・関節・神経・栄養・ホルモンの複合的要因が関与しており、正しい理解と包括的な予防・対策が求められます。

加齢による筋力・バランス力低下のメカニズム

年齢を重ねるごとに筋肉量や筋力は徐々に減少していきます。特に脚の筋肉は40歳以降減りやすく、バランス感覚や骨の強度も低下します。これは筋肉の再生能力の低下、神経系の伝達効率の低下、活動量の減少による刺激不足が主な要因となっています。特に、太ももやふくらはぎなど、立つ・歩くのに必要な筋肉が衰えやすくなっています。​​

「サルコペニア」と「フレイル」―筋肉減少と全身の虚弱

近年では、足腰の筋肉量減少を「サルコペニア」、全身の活力低下や虚弱を「フレイル」と呼称するようになりました。

サルコペニアとは、加齢や疾患・活動量減少が原因で筋肉量・筋力が低下し、身体機能が落ちる状態です。一方フレイルは、筋肉だけでなく、免疫機能や認知機能の低下、栄養状態の悪化なども含めて、身体全体が弱っていく段階を指します。これらは転倒や骨折、要介護状態のリスクを大きく高めます。

主な疾患と足腰への影響(変形性関節症や骨粗鬆症など)

高齢になるほど、足腰の変形性関節症や骨粗鬆症といった疾患リスクが増加します。関節軟骨の摩耗や骨密度の低下により、痛みやしびれ、歩行困難を訴える方が増えます。これらの疾患は筋肉を弱体化させ、それによって動きが緩慢になって運動量も落ち、筋力低下が加速する悪循環を招きます。​​

活動量減少が及ぼす悪循環

運動を避けがちになるほど、筋力や持久力は落ちていきます。加齢が進むほど、その下落はより顕著になります。動くのが億劫になる、痛くて動きたくない、転びそうで怖い、などで運動量が低下すれば、さらに筋肉が弱ります。これが進行していくと、やがては、自分の力で生活に必要なことを行える「日常生活の自立性」までもが脅かされます。​​

栄養状態やホルモン変化が筋肉へ及ぼす影響

高齢になると食事量やたんぱく質、ビタミン・ミネラル摂取の不足が問題になります。また、閉経などのホルモンの変化も筋肉減少に関与します。とくにたんぱく質不足やビタミンD不足、カルシウム不足は筋力低下や骨粗鬆症のリスクを高めるため、食生活の見直しが重要です。

足腰の衰えに効果的な対策

足腰の衰えを防ぐ日常生活の工夫

加齢にともなう足腰の機能低下自体は、避けられない自然の現象です。ですが、生活習慣を少し変えるだけでも、かなりその進行を抑えられます。それには、運動・栄養・環境を意識し、毎日の習慣に落とし込むことが重要です。生活の中で実践できる工夫を効率的に組み合わせ、足腰の機能を保ち、健康長寿を実現しましょう。​

筋肉量を維持する運動の実践

筋力を維持するには、定期的な運動習慣が第一です。日常的に筋肉に適度な負荷をかけ、衰えるのを防ぎます。

散歩、ウォーキングはその代表です。ただ外に出るとなると、雨風、暑さ寒さの問題もあります。そこで自宅でできる運動も、ぜひ併せて習慣にしてください。椅子スクワットやかかとの上下運動、大腰筋を鍛えるもも上げ、ふくらはぎのトレーニングなどは、自宅でも手軽に実践できます。週に二、三回、三十分ほど続けると良いでしょう。動作をゆっくり行い、筋肉へしっかり負荷をかけることで効果が高まります。

個人個人で運動機能に違いがありますので、自分に合った適度な負荷を心がけるようにしてください。

足腰、関節を柔軟にする

筋肉に負荷をかける運動と並行して、筋肉と関節を柔軟にするストレッチを行ってください。よく足腰の衰えというと、筋肉の強さや量の問題だと捉えられます。実は、筋肉と関節の柔軟性の欠如も、運動機能を落とす主要な原因になります。筋肉はただ硬いというだけで、その機能を落とします。また負担を吸収できず、ケガのリスクが高まります。​

足腰に効果的な簡単ストレッチ

1. 太もも裏・股関節ストレッチ

椅子に座り、片足を前に伸ばします。背筋を伸ばし、前に伸ばした足のつま先に向かってゆっくり上体を倒します。太ももの裏側や股関節が伸びている感覚を意識しながら15〜20秒キープします。左右交互に行いましょう。

2. ふくらはぎ・アキレス腱ストレッチ

壁につかまり、片方の足を後ろに引いてかかとを床につけます。ふくらはぎとアキレス腱が伸びるのを感じながら15〜20秒キープします。左右交互に行います。

3. 股関節・腰回りツイスト

椅子に座り背筋を伸ばします。ゆっくりと上半身を左右にひねり、ひねった位置で10秒間保ちます。左右を2〜3回ずつ繰り返してください。

どれも反動をつけず、呼吸を止めずにゆっくり行うのがポイントです。毎日続けることで、全体的な柔軟性やケガ予防に効果が期待できます。

食事で支える筋肉・骨

筋肉合成に欠かせないタンパク質や、骨の健康を守るビタミンDやカルシウムは、毎日の食事から十分に摂取したい栄養素です。肉・魚・卵・大豆製品は、良質なたんぱく源です。牛乳や小魚、日光浴によるビタミンDやカルシウムの補給も推奨されます。バランスのとれた食生活が、筋力や体力の根本を支えます。

続けやすい環境作りと工夫

習慣は、日常生活の中に組み込まれるものです。効率的に運動できるよう、上手に習慣を作ってください。例えば、ここはエスカレーターやエレベーターではなく階段を使う、歩く際には姿勢を正しくフォームに気を付ける、飽きないよう複数の散歩コースを用意する、普段の立ち座り動作を意識するなど、日常でのちょっとした意識の変化で、成果も大きく向上します。

​ストイックに頑張る必要はありません。無理せず、気楽に、楽しく運動習慣を取り入れてください。

専門職のサポート

膝や腰に痛み、不安を感じた場合は、医療機関や理学療法士に相談し、適切なアドバイスやリハビリを受けてください。専門家の指導を受けながら、必要があれば補助器具なども用いて、ケガの悪化、再発、新たなケガを予防します。​

やってはいけないNG習慣

運動不足や活動量の減少

これは、言うまでもないNG行動ですね。継続的な運動の真逆の、運動不足です。

繰り返しになりますが、足腰の機能を維持するためには、適度な運動が不可欠です。しかし、加齢や体力の低下、不安から活動を控えてしまう方は多く見られます。運動不足が続くと、筋肉や関節が固まりやすくなり、日常の動作もどんどん億劫になります。少しずつでも体を動かし続けることで、筋肉の減少や機能低下を防げます。外出が難しい場合でも、自宅で簡単な運動やストレッチを習慣にしてください。

偏った食事や低栄養

栄養バランスの乱れや十分な食事量の確保ができない状況は、筋肉や骨の健康に悪影響を及ぼします。極端なダイエットや炭水化物・脂質ばかりに偏った食事は避け、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、カルシウムなどを意識して取りましょう。高齢者は咀嚼力や食欲の変化もあるため、食事内容の工夫と必要に応じた栄養補助食品の活用も重要です。十分な栄養が取れていれば、筋肉や骨の維持に必要なエネルギーが供給されます。​

長時間同じ姿勢・座りっぱなし

テレビやスマートフォンを長時間見たり、読書や作業でじっとし続けていると、下半身の血流や筋肉の働きが低下します。長時間同じ姿勢でいる場合は、意識的に足を動かす・立ち上がる・ストレッチを挟むようにしましょう。30~60分に一度でも姿勢を変えるだけで、血行促進や筋肉の硬直予防につながります。同じ姿勢を取り続けず、小まめに体を動かしてリセットしましょう。​

無理な運動や自己流の間違った負荷

「頑張らなければ」と思うあまり、急に強度の高い運動を始めたり、正しいフォームを確認せずトレーニングを行うと、逆にケガの危険性が高まります。無理せず、自分の体力や関節の可動域に合った運動量を守ることが大切です。不安な場合や運動初心者の方は、専門職や医療従事者に相談してください。正しい知識とアドバイスを得ながら取り組めば、安全性が増します。​

痛みや違和感の放置

足や腰、膝などに痛みや違和感がある場合、そのまま活動量を減らすだけでは根本的な解決になりません。症状が軽いうちに専門家に相談し、原因に応じたケアやリハビリを早期に行ってください。「年齢のせい」と我慢してしまう習慣は、結果的に日常生活の質を低下させるリスクとなります。積極的に相談し、早めの対策を心がけましょう。

不安や自己否定からの消極的行動

転倒への恐れや「もう年だから仕方ない」といった意識が、活動そのものを消極的にしがちです。不安や自己否定の感情を持ち続けると、動く意欲まで奪われてしまいます。

ちょっと遠いから大変そうだな、階段が多くて厳しそうだな、と微妙なラインで止める方に傾いた時は、逆にGOサインにしてください。本当に無理な負荷は体を壊しますが、小さな成功や変化を積み重ね、自信を取り戻しましょう。​

一義流気功治療院では、加齢による足腰の衰えにどう対応しているの?

​それでは一義流気功治療院では、どのように対応するのでしょうか。「硬直 → 負担増 → 硬直やケガ」という負の連鎖を断ち切ります。

衰えの多くは、硬直がメイン

(これは来院されている方という条件が付きますので、家からほとんど出ない、寝た切りに近い、といった方では事情が違うかと思います)

来院されるご高齢の方は、よく足腰の衰えを自覚しています。その多くは筋力の衰えと考えているのですが、実はむしろ、硬直が主な原因になっているケースがほとんどです。硬直した筋肉は、当然、動かし難くなります。動作がぎこちなくなり、すぐに疲れてしまう。なかなか疲れが取れない。これを筋力の衰えと受け取っています。

筋肉の硬直が極端に進めば、感触は劣化して弾力性がなくなったゴムのようになります。これでは本来の機能は果たせず、ただそこにあって骨を固定するだけに。その中で、比較的、動かせる筋肉で何とか歩いたり、立ち上がったりするわけですから、動きがぎこちなくて当然です。また動かせる筋肉には過度な負担がかかり、すぐに疲れて硬直してしまいます。それを繰り返していくうちに、満足に動かせる筋肉が減っていき、状態が悪化していくのです。

筋硬直をほどき、神経の圧迫を解放する

歩行がぎこちない、歩くと直ぐに疲れてしまう、というレベルの筋硬直は、全身を見なければいけません。特に腰を含めた背中全般は重要で、全身の血流を悪くさせます。また背骨付近の硬直は神経の根本を圧迫し、やはりこの影響も全身に及びます。

ですから治療の優先順位において、脚そのものはほぼ上位には来ません。腰を含めた背中全体の筋肉を解放し、血流と呼吸の回復、神経を圧迫から解放が、ほとんどのケースで最優先になります。膝も治療箇所としてはよく出ますが、背中や腰が終わった後というのが一般的です。

筋肉を蘇り、足腰の強さを実感する

長年、硬直し続けた筋肉は、一朝一夕ではどうにもなりません。もう筋肉の収縮がほとんど行われてない状態からのスタートですと、ゆるめてもすぐに硬くなり、元に戻ってしまいます。けれども、日常的に入浴習慣で血行を良くし、体操やストレッチを行い、それでもどうにもならない筋肉を治療でゆるめていけば、次第に筋肉が蘇っていきます。

感触も、硬く劣化したゴムではなく、水分を含んだ気持ちの良い柔軟性を帯びるようになります。こうなると、本人も「以前よりも、ずっと動きやすい」、「歩いても、疲れ難くなった」、「姿勢が良くなった」といった実感を持てます。

潜在意識から情報を引き出す

潜在意識とは、表面上の意識で認識できない領域を指します。そこには最終的な自分自身がおり、体と心の詳細な情報を保持しています。その中で、足腰の機能の衰えも認識されており、原因、どうすれば改善するのかも解っています。その情報を引き出すことで、個人個人に合わせた最適な治療、日常生活での取り組みが導き出されます。

まとめ、結論

加齢にともなう足腰の衰えは、筋力や柔軟性、関節機能の低下といった身体的要因が複雑に絡み合っています。活動量が減ると筋力やバランス力も落ち、サルコペニアやフレイルなどの状態が進行しやすくなります。運動不足、バランスの悪い食事、関節の痛み、神経や血流の問題が蓄積すれば、歩行や立ち上がりなど日常動作の自立性まで脅かされます。筋肉や関節の硬直は、ぎこちない動きや疲れやすさにつながり、症状が悪化しないためにも予防と早期の対応が欠かせません。セルフケアとして入浴やストレッチ、栄養の見直し、適切な運動習慣の維持が大切です。

一義流気功治療院では、全身の筋肉の硬直や血流の悪化、神経の圧迫を見極め、特に腰・背中からのアプローチによって、足腰本来の働きを引き出す施術を行っています。患者様一人一人に丁寧に向き合い、日常の生活改善とともに、健康寿命の維持を力強く支援しています。

小池義孝の本

『ねこ背は治る!』は、30万部と突破のベストセラー! 『忘れたい過去が最短1分で消える!』など、累計70万部以上が販売されています。

→ 小池義孝の本をamazonで検索!


住所〒116-0002 東京都荒川区荒川 6-52-1 1F
電話番号03-6427-7446 / 090-6499-9762(直通)
営業時間午前10時~午後8時(電話受付:午前10時~午後7時)


特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP
電話予約
WEB予約
CLOSE
電話予約
WEB予約